1勝1敗で迎えた女流王位戦の第3局が、18年5月30日午前9時から始まります。里見香奈vs渡部愛で勝負の行方はどうなったのかを、今日も速報します。
目次
里見香奈
女流将棋界の不動の第一人者で、現在も6つあるタイトル戦のうち5つを併せ持つ五冠王です。
18年3月までは奨励会にも在籍し、最高で三段まで到達していました。
得意な戦法は振り飛車で、直近5局も全て振り飛車戦法を採用されています。
日付 | 対局内容 | 相手 | 戦法 | 結果 |
18年2月4日 | 女流名人戦五番勝負③ | 伊藤沙恵女流二段 | 相振り飛車 | 勝ち |
18年2月7日 | マイナビ女子オープン準決勝 | 西山朋佳三段 | 相振り飛車 | 負け |
18年5月9日 | 女流王位戦五番勝負① | 渡部愛女流二段 | ゴキゲン中飛車 | 負け |
18年5月14日 | 加古川青流戦 | 池永天志四段 | 相振り飛車 | 負け |
18年5月22日 | 女流王位戦五番勝負② | 渡部愛女流二段 | 向かい飛車 | 勝ち |
なお、里見香奈さんの全ての記事は、【里見香奈の関連記事一覧】で観ることができます。
渡部愛
女流の将棋界には、団体が2つあります。
1つは「日本将棋連盟」で、「女流棋士」という肩書きで活動している団体です。
もう一つは「日本女子プロ将棋協会」と呼ばれる団体で、LPSAという略号が用いられています。
多数派はもちろん日本将棋連盟なのですが、渡部愛さんはLPSAに所属されています。
LPSA所属の女流棋士からは、久しぶりの女流タイトル戦挑戦者となりました。
女流棋士の多くは振り飛車を好みますが、渡部さんは居飛車が得意戦法です。
里見さんとは逆に、直近5局は全て居飛車を採用されています。
日付 | 対局内容 | 相手 | 戦法 | 結果 |
18年3月14日 | 女流王位戦挑戦者決定戦 | 清水市代女流六段 | 相掛かり | 勝ち |
18年4月29日 | 花みず木女流オープン準決勝 | 鈴木環那女流二段 | 居飛車その他 | 勝ち |
18年4月29日 | 花みず木女流オープン決勝 | 中村真梨花女流三段 | 対振飛車左美濃 | 負け |
18年5月9日 | 女流王位戦五番勝負① | 里見香奈女流五冠 | 対振飛車左美濃 | 勝ち |
18年5月22日 | 女流王位戦五番勝負② | 里見香奈女流五冠 | 対振飛車左美濃 | 負け |
女流王位戦
第1局
4連覇を狙う里見香奈女流王位に、LPSA所属の渡部愛女流二段が挑むカードになりました。
振り飛車党の里見香奈女流王位に対し、居飛車党の渡部愛女流二段なので、全局とも振り飛車vs居飛車になることが想定されていましたが、第1局から予想に違わぬ展開になりました。
対局は里見香奈女流王位の勝ちの局面になったのですが、終盤のうっかりで渡部愛女流二段の勝利で、五番勝負の幕が開けました。
第2局
前評判は里見香奈女流王位有利とされていながら、第1局を挑戦者が制したことで、俄然勝負の行方が面白くなりました。
第2局は、渡部愛女流二段がやや優勢で局面を進めたのですが、中央に活路を見出した里見香奈女流王位が、最後は必殺の一手を放って勝利し、五番勝負を振り出しに戻しました。
第3局の速報
速報(午前9時4分時点)
里見香奈女流王位の先手で、対局が始まりました。
早速中央の歩兵を伸ばし、里見さんの得意戦法の一つ「中飛車」になりました。
速報(午前11時49分時点)
中飛車に構えた里見さんは、銀将をどんどん前線へ繰り出していきます。
対する渡部さんは、第2局と同じく左美濃模様に構えます。
里見さんが、さらに陣形整備と攻撃態勢の構築を進めるのに対し、渡部さんは、右の銀将を王将の近くまで持っていき、4枚の駒で防御体制を構築します。
その後里見さんは、左寄りの3列目へ飛車を展開し、石田流という攻撃準備を進めます。
一方の渡部さんは、穴熊を構築して王将を入城させますが、里見さんの石田流の攻撃陣がほぼ完成します。
そのタイミングで、渡部さんが中央から戦いを起こしました。
その後、左翼に移動してきた渡部さんの金将をみて、里見さんは桂馬を跳ねて攻撃を本格化させます。
やや模様のいい里見さんは、弱体化した渡部陣の中央付近へ追撃を仕掛けます。
そうはさせじと、渡部さんも金将を里見さんの飛車へぶつけて、圧力をかけていきます。
そして、右の桂馬も里見さんは跳ねたので、中央付近に左右の桂馬が並ぶ格好になりました。
速報(18時33分時点)
桂馬が跳ねた隙間を狙って、渡部さんは角行で王手をかけます。
里見さんが王手を歩兵で防いだのを待って、渡部さんは桂馬に歩兵で攻撃を仕掛けます。
その後、金将を捨てて角行の睨みを防いでから、渡部さんは桂馬を捕獲します。
手渡した金将が角行へ攻撃してくるのを見て、渡部さんは端攻めを敢行します。
受けるとまずい里見さんは、そのまま角行を捕獲します。
その後、渡部さんのと金が侵入してきたので、自陣の左翼へ王将を逃走させます。
ここで控え室のプロたちは、「渡部さん優勢」という評価を下します。
渡部さんは、手筋を使って優勢を拡大しようとします。
ゆっくりすると、劣勢が敗勢になってしまう里見さんは、と金を渡部陣へ深く侵入させます。
焦らせたい渡部さんは、里見さんの角行へ攻撃を仕掛け、暴発へ誘導します。
渡部さんの誘導に対し里見さんは、根性の粘りを見せます。
渡部さんは、間違えずにじっくり挟撃形を作り上げて行きます。
里見さんは最後まで粘りを見せましたが、間違えずに渡部さんは勝利を収めました。
これで渡部さんの2勝1敗となり、女流王位奪取に王手をかけました。
次の対局は、6月13日に行われます。
こちらの記事もおすすめです