通算勝率が驚異の8割越えを誇る藤井聡太七段を歴代の覇者(羽生善治・谷川浩司・渡辺明)と比較するシリーズの第10回は、藤井聡太七段と歴代の王者の「採用する戦型」の比較を、保存版としてまとめました。
目次
藤井聡太と羽生善治・谷川浩司・渡辺明を比較第10回
【藤井聡太と羽生善治・谷川浩司・渡辺明を比較🤔】
✅採用する戦型の割合
藤井 角換わり(26%) 矢倉(21%) 対中飛車居飛車(13%)
羽生 矢倉(27%) 横歩取り(15%) 角換わり(11%)
谷川 矢倉(27%) 相掛かり(12%) 横歩取り(11%)
渡辺 矢倉(27%) 横歩取り(16%) 角換わり(14%)流行りの変化が顕著に pic.twitter.com/WLZULHmREv
— 将棋ポケット@将棋ブログ (@shogipocket) 2019年5月14日
戦法の流行りの変遷
かつては、「矢倉は将棋の純文学」なんて言葉があったように、歴代の王者は必ず矢倉で高い勝率を残されてきました。
少し前は、横歩取り後手8五飛戦法の登場で、横歩取りが全盛の時代もありました。
もちろん藤井聡太七段も、矢倉や横歩取りを苦手とされているわけではありません。
ですが、近年の急速なAIの発展で「角換わり」や「雁木」を高評価したことから、流行りがそちらへ移っていきました。
そんな時代背景もあって、居飛車党の藤井聡太七段が採用する戦型は、「角換わり」が一番多くなっています。
採用する戦型の比較表
藤井聡太七段と歴代王者の採用する戦型を、比較表にしてみました。
藤井 | 羽生 | 谷川 | 渡辺 | |
1位 | 角換わり
(26%) |
矢倉
(27%) |
矢倉
(27%) |
矢倉
(27%) |
2位 | 矢倉
(21%) |
横歩取り
(15%) |
相掛かり
(12%) |
横歩取り
(16%) |
3位 | 対中飛車居飛車
(13%) |
角換わり
(11%) |
横歩取り
(11%) |
相掛かり
(14%) |
羽生善治九段は、幼少の頃から横歩取りが好きだったこともあり、横歩取りの採用が2位になっています。
一方の、渡辺明二冠の2位に横歩取りが来ているのは、時代背景もあるでしょう。
やはりAI登場前は「矢倉」が、AI登場以降は「角換わり」が主流戦法になっていますね。
戦法別勝率の比較表
続いて、「主要戦法別の勝率」の比較表です。
藤井 | 羽生 | 谷川 | 渡辺 | |
角換わり | .861 | .632 | .636 | .682 |
矢倉 | .900 | .718 | .642 | .687 |
横歩取り | .500 | .697 | .537 | .635 |
藤井聡太七段の横歩取りの勝率が目につきますが、そのほかは各王者とも極端な落ち込みがありません。
特に渡辺明二冠は、どの戦型・戦法でも近い勝率を残されています。
時代の覇者になるには、苦手戦法があるとまずいということなのでしょうね。
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