谷川浩司九段は、現役の将棋プロ棋士の中で最も多く羽生善治九段と将棋タイトル戦を戦った棋士です。そこで今回から、「羽生vs谷川」の将棋タイトル戦をまとめて振り返り、対戦成績を紐解いていきます。
羽生善治と谷川浩司の将棋タイトル戦まとめその1
第3期竜王戦 (1990年)
長い将棋タイトル戦史上を彩る「羽生vs谷川」の記念すべき第1回は、十段戦を衣替えして間もない「竜王戦」の舞台で実現しました。
前年に若干19歳にしてビッグタイトル竜王を奪取した羽生善治竜王の、初めての防衛戦でした。
対する挑戦者は、二冠を引っさげて「覇者」への道を邁進する谷川浩司二冠でした。
のちに羽生善治竜王がタイトルを99期も獲得するなんて、誰も夢想だにしていなかったので、最強の挑戦者の登場に「谷川乗り」の方が多かった前評判でした。
シリーズが始まると、前評判通りに挑戦者が3連勝で一気に王手をかけます。
1勝を返したものの、第5局では負けてしまい、初タイトルの防衛はなりませんでした。
一方の挑戦者の谷川浩司二冠は「三冠」を手にしたので、いよいよ王者への道を確固たるものにしたと、その時は誰もが思っていました。
将棋世界1990年12月号:谷川先生と羽生先生の初めてのタイトル戦(第3期竜王戦) pic.twitter.com/B3aVuQTXrm
— やまじゅん;とある将棋の序盤ソムリエ (@yamajunn21) 2013年3月8日
第5期竜王戦 (1992年)
今度は立場を変えて、タイトル戦での「羽生vs谷川」が実現しました。
前回のタイトル戦以降も、タイトルの増減はあったものの、竜王・王将・棋聖の三冠を持っていた谷川浩司竜王は、この時点では文句なく第一人者でした。
対する挑戦者の羽生善治二冠は、竜王の失冠後から1年もおかずに次のタイトル「棋王」を獲得していました。
竜王への挑戦前には、福崎文吾王座から「王座」を奪って、「二冠」へと進化していました。
つまりこの竜王戦は、「三冠vs二冠」の頂上決戦だったわけです。
ちなみに、棋王を1991年に獲得してから、広瀬章人八段に竜王を奪われる2018年まで、実に27年にもわたってタイトルを獲得し続けることになります。
前回は4勝1敗という一方的なスコアで終わりましたが、今回は決着が最終局までもつれ込む激戦となりました。
出だしを谷川竜王が2連勝したときは「やはり谷川防衛か?」の声もありましたが、そこから羽生二冠が3連勝で逆襲します。
最終局までもつれ込んだシリーズは羽生二冠が制して、谷川竜王に代わって「三冠」の座に就きます。
この竜王戦を境に「谷川>羽生」だった力関係が、完全に「羽生>谷川」へと変わっていきます。
第5期竜王戦第1局の谷川先生の寄せ方が圧巻だわ。切れ味がすごすぎる。どれだけ読んでもこんな手は浮かばない(^^; pic.twitter.com/93LHfCWQXi
— 白米 (@hakumaipank) 2017年1月28日
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