無冠の帝王は誰? 強いのに将棋タイトル取れないプロ棋士をまとめた!

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「無冠の帝王」は、畏敬の念を込めた呼称ですが、プロ棋士ご本人的には不本意でもあります。将棋の世界でも無冠の帝王の棋士は何名かいらっしゃって、「誰々は強いのになぜタイトルが取れない?」のが将棋界の七不思議とファンの間でも話題です。今日は「無冠の帝王」についてまとめました。







将棋のタイトルとプロ棋士

一度挑戦するだけでも偉業

将棋の世界には8つのタイトル戦があり、ほぼ全員の将棋プロはタイトル挑戦・獲得を夢見て日夜研鑽に励んでいます。

タイトル戦に挑戦するには、いくつもの予選・決勝トーナメントを勝ち抜いて行く必要があります。

以下に、タイトル戦別に「挑戦」「獲得」まで必要な勝ち星をまとめてみました。

名称 予選 本戦・決勝 番勝負
竜王戦 6連勝 4連勝+2勝1敗 4勝3敗以上
名人戦 少なくとも4年好成績 一般的にはA級で7勝2敗くらい 4勝3敗以上
叡王戦 4連勝 4連勝(2018年から) 4勝3敗以上
王位戦 4連勝 一般的には4勝1敗くらい+1勝 4勝3敗以上
王将戦 8連勝 一般的には5勝1敗くらい 4勝3敗以上
王座戦 7連勝 4連勝 3勝2敗以上
棋王戦 4連勝 6連勝(準決勝以上は1敗可能) 3勝2敗以上
棋聖戦 7連勝 4連勝 3勝2敗以上

※竜王戦:所属ランキング戦・出場決定戦によっては例外あり

※「将棋プロ新人が勝ち進むために必要な一般的な勝ち星」を前提

※+◯勝:決勝三番勝負・プレーオフの意味

挑戦するだけでも11〜13連勝する必要があるので、挑戦することがいかに大変かがわかります。

挑戦者になっても

無事に挑戦者になれたとしても、そこに待ち受けるのは、タイトルホルダーです。

挑戦するタイトルによって必要な勝ち星は異なるのですが、相手は「去年のタイトル戦で勝った人」なので、その人に勝つのも簡単ではありません。

こういった背景があるからこそ、将棋タイトルは重みがあると同時に、「挑戦するだけでも大変な偉業」と言われる所以です。

強いのにタイトル取れない理由

時代の覇者の存在

将棋に限らずスポーツの世界でもそうでしょうが、タイトル戦を繰り返し制するツワモノがどの時代にもいます。

将棋の世界では、異論なく羽生善治さんです。

このブログではそんな方々を「覇者」と呼んでいますが、囲碁で言えば井山裕太さん、テニスで言えばフェデラーでしょう。

タイトル戦に出てきたら、待ち受けているのは大抵彼らです。

場数もたくさん踏んできている相手なので、「将棋」そのものの技量もさることながら、経験値ではどうしても劣ってしまいます。

そんな覇者に、勢いの力でどこまで迫れるかが勝負のアヤになります。

メンタル面

タイトル戦は、地方の一流旅館やホテルなどで行われる上に、報道などでの注目度も他の対局とは段違いです。

「普通ではない雰囲気」が両対局者を包むので、緊張するなという方が無理な話でしょう。

そんな状況を気にしない人もいれば、雰囲気に飲まれてしまう人もいます。

ある程度は慣れも必要なんでしょうが、「普通ではない雰囲気への慣れ」が、覇者をたくさん勝たせている要素の一つでもあるのではないでしょうか。

また、タイトル戦などの大舞台では、「一度勝つと勝ち方が分かる」とも言われます。

どのタイミングでギアを上げるべきか、負けてはいけないか、力を抜くべきかということが、実感できるということなのかもしれません。

名人8期を誇る森内俊之九段も、「ずっと集中し続けるのは不可能」と発言されていて、「どこで抜くべきか」も勝負のうちであることが感じられます。




無冠の帝王の棋士は誰?(しょうぎまとめた)

木村一基九段の初タイトルはいつ?

どんな将棋プロ棋士?

今もキャリア通算勝率が.638を誇るトッププロで、将棋プロの格を決める順位戦では、2019年からA級に復帰されています。

強靭な受けが最大の特徴で、「千駄ヶ谷の受け師」の異名をとっています。

主な戦績は以下のとおりですが、何と言っても「タイトル挑戦6回」が目を引きます。

  • A級所属4期
  • タイトル挑戦6回(王位戦3回、竜王戦1回、王座戦1回、棋聖戦1回)

これまでのキャリアハイライト

深浦康市王位へ挑戦した2009年の王位戦七番勝負でしょう。

出だし3局を3連勝で、初タイトルへ一気に王手をかけたのですが、その後まさかの4連敗。

将棋の世界で「3連勝4連敗」は、それまで2008年に羽生善治四冠が渡辺明竜王に喫した1回だけだったので、大きな驚きでした。

直近でいうと2016年にも羽生善治王位(当時)に挑戦されましたが、3勝4敗で奪取は叶いませんでした。

局後に行われるインタビューでは以下のやり取りがあり、木村一基九段の無念がにじみ出ています。

シリーズ敗退についての感想を問われると、少し考えた後に無言で右手を振り、「ノーコメント」の合図。しぐさは少しユーモラスでしたが、タイトル獲得を逃した無念さを感じました。

出典:朝日新聞観戦記者ツイッター

心中を察して余りあるシーンでした。




森下卓九段

将棋界の七不思議にも数えられるほど、森下卓九段がタイトルを獲れなかったことは将棋界最大の謎とも位置付けられています。

主な戦績は以下のとおりで、正真正銘のトッププロですからタイトルを獲っても何ら不思議ではありませんでした。

  • A級所属10期
  • タイトル挑戦6回(棋王戦2回、名人戦1回、竜王戦1回、王将戦1回、棋聖戦1回)

キャリアのピークが、羽生善治永世七冠の絶頂期に当たってしまったのが、強いて上げるとすれば、不運と言えます。

順位戦はB級2組に所属されているので、キャリアのピークは過ぎてしまった感がなくはありませんが、捲土重来の思いはまだお持ちのはずです。

行方尚史八段

木村一基九段と同学年ですが、どちらかというと遅咲きで、初タイトル挑戦は2013年でした。

主な戦績は以下のとおりですが、「A級降級後に名人戦挑戦」を達成しています。

  • A級所属6期
  • タイトル挑戦2回(名人戦1回、王位戦1回)

ブログでも何度か紹介していますが、名人戦の挑戦者になるにはC級2組から始まってA級まで上り詰めて、しかもそこでトップの成績を収めないといけません。

なので、名人戦の挑戦者になることは、立派な勲章です。

では、「A級降級後の名人戦挑戦」の何が凄いのでしょうか?

それは、「A級を降級=実力が下降線を辿り始めている」とも取れる一方で、その後に名人へ挑戦するためにもう一度A級へ這い上がって、さらにA級でトップの成績を収めないといけないからです。

2度のタイトル戦は、いずれもタイトルホルダーが羽生善治さんで、ともに1勝4敗で敗退となりました。

2017年度の順位戦ではA級から降級してしまいましたが、密かに復帰を狙われていることは間違いないでしょう。




無冠の帝王を卒業した人

豊島将之八段

最近だと、将棋名人戦のプレーオフで3連勝&王将戦挑戦で話題になりましたが、今もキャリア通算勝率がほぼ7割(.699)で、順位戦A級に所属している不動のトッププロです。

まだ20代ですが、タイトル挑戦の回数が示すとおり若手の中でも抜きん出た存在です。

  • A級所属:1期
  • タイトル挑戦4回(王将戦2回、王座戦1回、棋聖戦1回)

王将戦七番勝負が終わった後、タイトル挑戦4回目も不成功に終わったこと・20代のタイトルホルダーが相次いで誕生していることをインタビューで聞かれると、以下のように答えられています。

あまり焦りすぎないようにして、これからも頑張りたいと思います。

出典:王将戦中継ブログ

静かに闘志を燃やされているであろうことは、想像に難くありません。

ついにタイトルを奪取!

2018年7月17日に行われた棋聖戦第5局で、羽生善治棋聖に勝利し、ついに初タイトルを獲得しました!

これでついに無冠の帝王を卒業しました!

その後、王位を獲得して二冠に、そして名人戦挑戦も決めて「三冠」を目指します。

一気に加速した感じですね。







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