将棋初心者の方で、「どこを狙う・攻めるといいの?」と悩まれている方はいませんか? 「相手の囲い・陣形の弱点を攻めればいい」が答えなので、今回は、囲い・陣形の弱点・攻略法を、将棋盤を使って、わかりやすく解説しました。
どこを攻めるかわかりやすくいうと?(初心者向け)
将棋は相手の王将を取りに行くゲーム
駒の動きや陣形・戦型を覚えると、それを早く使いこなしたくなります。
それは将棋のモチベーションが高くなっている証拠なので、非常にいいことなのですが、「将棋が何を目的にしたゲーム?」ということを、ついついうっかりしてしまいます。
「相手の王将を取りに行くゲーム」です。
相手の嫌なことをしたら勝ちやすくなる
将棋は相手の王将を取りに行くゲームですから、相手は「王将を取りに来られる」のが嫌なわけです。
直接取りに来られなくても、自分の王将の近辺で戦いが始まったり、自分の防御の弱点を突かれたら嫌なのです。
何をしたらいいかわからない時は、「相手の嫌なことは何?」を常に考えてみましょう。
どこを狙う? 相手の囲い・陣形の弱点を攻略!
どんな囲いにも弱点がある
防御の構えのことを、将棋では「囲い」と言います。
陣形といってもいいでしょう。
完璧な・理想的な囲いをしたくなりますが、残念ながらパーフェクトな囲いはありません。
どんな囲いにも弱点があります。
だから、将棋が強くなりたければ、囲いの弱点を知っておくのが一番です。
囲い・陣形の弱点はどこ?(居飛車編)
矢倉(やぐら)
飛車を横に動かさない戦法を「居飛車」(いびしゃ)と言いますが、居飛車の代表的な戦法です。
見ての通り、上からの攻撃を意識した構えなので、上からの攻撃に強いという特徴があります。
もちろん弱点もあります。
端っこの列を狙って攻めるのがポイントの1つです。
盤面を逆さにするとよくわかりますが、相手の金将も銀将も守っていない場所だからです。
こんな感じで、歩兵を垂らすと、攻撃がうまく運べます。
居飛車穴熊(いびしゃあなぐま)
主に、相手が振り飛車(ふりびしゃ)戦法を採用した場合に、対抗して使う戦型です。
横から攻めてくる振り飛車にめっぽう強い構えです。
どこを攻略したらいいんだろうと途方にくれるような構えですが、振り飛車穴熊と同じく、端っこの列が弱点です。
こんな感じの攻め方です。
ただ、この形になりにくいので、「穴熊に入っちゃう前に攻めてしまおう!」という戦法も登場しています。
後日改めて解説しますが、竜王を三連覇した経験のある藤井猛九段(ふじいたけし)が考案された、「藤井システム」という戦法です。
雁木(がんぎ)
人工知能を搭載した将棋ソフトが採用したことで、最近見直されて流行している戦型です。
非常にバランスのとれた囲いですが、角行の左斜め上を銀将で攻めると、矢倉囲いに比べて守りが強くないので、攻略しやすいという弱点も抱えています。
舟囲い(ふながこい)
相手が振り飛車戦法を使った時に、対抗して使う囲いで、非常にシンプルな点が特徴的です。
こんな感じの囲いです。
シンプルであるがゆえに、弱点もあります。
弱点は、王将の左上です。
銀将が攻撃に向かって右側へ上がっていると、弱点がよくわかります。
こんな感じで、水色のマスに攻撃を仕掛けられると、防ぐ駒がないのと、角行は真上には進めないという二重の弱点を抱えています。
水色のマス目に何かの駒が飛び込んできても、王将で取り返すと、緑色のマスの金将がタダで取られてしまうのです。
囲い・陣形の弱点はどこ?(振り飛車編)
次に、自分が飛車を横に振る振り飛車(ふりびしゃ)戦法を採用した時に使う囲いを見ていきましょう。
美濃囲い
振り飛車戦法を使うときの、代表的な囲いです。
陣形はこんな感じですが、いかにも横からの攻めに強そうです。
横からの攻めに強いという特徴があるゆえに、上からの攻撃に弱いという弱点も併せ持っています。
例えば、角行に睨まれながら桂馬を打たれると、致命傷になってしまいます。
桂馬で王手をかけているのですが、この桂馬を取ると、角行に王将を取られてしまうので、この桂馬は取れません。
かといって、逃げ道も少ないので、この形になることは避けないといけません。
振り飛車穴熊
居飛車穴熊と同じように、自分の王将を隅っこに匿って、その周りを金将・銀将で固める布陣です。
王将が隅っこにいるので、横からの攻めに強い(=王将まで遠い)という特徴があります。
その反面、端っこと端から2列目の辺りを攻められると、穴熊が一気に崩壊してしまうという、弱点があります。
こんな感じで端っこを攻められると、王将が逃げるスペースがないからです。
2列目の弱点は、こんな感じです。
桂馬を使われると、簡単に穴熊が崩されてしまいます。
このように攻められると困ってしまうということは、攻める側からすると、この形に持って行こうとすればいいのです。
局面を反転して、攻めるポイントに印をつけると、こんな感じです。
水色のマス目のところを攻めるようにしましょう。
銀冠(ぎんかんむり)
自分が振り飛車を選択し、相手が飛車を横に振らない居飛車(いびしゃ)を採用した時に現れる陣形です。
王将の上部への防御を意識した構えなので、上部に固い特徴があります。
囲いを固くしているのは、王将の横の金将(きんしょう)なので、銀冠を攻略するには、この金将を攻撃します。
つまり、この金将が弱点なのです。
この金将がいなくなれば、相手の王将を斜め下から攻撃できるので、まずはこの金将を剥がすように攻めていきましょう。
金無双(きんむそう)
自分も相手も振り飛車(ふりびしゃ)戦法を採用した場合、その戦型のことを「相振り飛車」(あいふりびしゃ)と言います。
相振り飛車の場合にしばしば用いられる戦型が、金無双という囲いです。
相振り飛車なので、かなりの頻度で自分の王将と同じ・近い列に、相手の飛車(ひしゃ)がいます。
なので、上からの攻めに高い防御力を発揮する構えです。
一方で、弱点が少なくとも2つあります。
1つ目は、斜め左に歩兵(ふひょう)を垂らされると、すぐに囲いが崩れてしまう点です。
こんな感じです。
王様の斜め上にこのような感じの拠点を作られて、銀将(ぎんしょう)を水色のマス目に打たれる形を避けないといけません。
守りの金将(きんしょう)が簡単に剥がされてしまい、守備力が著しく弱体化するからです。
逆に攻める方からすると、先日紹介した「歩兵のコツ・手筋」を使って、相手の王将の斜め上に、以下の図のような攻めの拠点を作ることが、目指すべき形になります。
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