将棋の入門書を読んだら「詰み」って言葉が出てきます。他にも「詰めろ」「必至」もあルノで、「どういう意味?」と感じられた方はいませんか?今日は、王将がどういう事になったら勝ちなのか、詰み・詰めろ・必至の意味・違いを、図を使ってわかりやすく解説します。
王将がどういう事になったら勝ち?詰みの意味は?
将棋はどうなったら勝ち?
将棋は、相手の王将を、自分の王将よりも早く捕まえたら勝ちです。
実際には相手の王将を取るまで対局はせず、以下の条件を満たしたら「勝ち」です。
- 「相手の王将がどこへ逃げても、自分の駒で相手の王将を取れる状態」を作る
- 相手よりも先に作る
つまり、相手の王将を取れればいいので、必ずしも駒をたくさん取らないと勝てない訳ではありません。
そんな背景もあって将棋の世界には、「終盤は、駒の損得より速度」という格言があります。
ちなみに「速度」とは、「相手の王将へどれだけ早く迫っていけるか?」を意味しています。
詰みってどんな感じ?
駒を取れる形は?
先日の記事で、駒の動き方を解説しました。
【関連記事】
この関連記事の中で、「自分の駒が動ける範囲に、相手の駒があったら、その駒は取れる」というルールがあると紹介しました。
例えば、以下のような局面だと、この桂馬(けいま)は、自分の動ける範囲に相手の銀将(ぎんしょう)がいるので、この銀将は逃げないでこのままいると、次に取られるわけです。
王手はどういう意味?
同じく桂馬の場合を考えてみましょう。
上の図と同じように、桂馬の動ける範囲に相手の王将がいますね。
この局面も最初の局面と同じく、「王将は逃げないと、次に桂馬で取られちゃう」状態です。
この状態のことを、「王手」と言います。
詰みって?
では、王手がかかっている状態を少し発展させてみましょう。
今、自分の桂馬(桂馬)で相手の王将へ王手をかけています。
つまり、相手は王将を逃げないと、負けてしまう状態です。
逃げれる候補は、水色のところです。
でも、水色のマスは、自分の駒のいずれかが動ける範囲なので、相手の王将がそこへ侵入して来たら、相手の王将を取れる(=勝ち)になります。
- 3一のマスへ逃げてくると→歩兵(ふひょう)で取れる
- 1二のマスへ逃げてくると→香車(きょうしゃ)で取れる
- 2二のマスへ逃げてくると→銀将(ぎんしょう)で取れる
つまり相手の王将は、「逃げないと次に取られちゃう」のに、「逃げる場所がない」のです。
この状態を「詰み」といい、先にこの状態へ追い込まれると、「負け」になります。
逆にいうと、自分の王将よりも先に相手の王将を「詰み」へ追い込めれば、「勝ち」です。
詰めろってどういうもの?詰みとの違いは?
「詰めろ」は「詰み」とイコールではない
詰めろって?
「詰み」とよく似た言葉に、「詰めろ」という言葉があります。
紛らわしいのですが、「相手が何もしなければ、次に詰みの形を作れる状態」のことを言います。
文章だとわかりにくいので、以下で局面をお見せしますね。
詰めろはどんな局面?
こんな局面です(自分は持ち駒に銀将を持っていると仮定します)。
詰みとの大きな違いは、「まだ王手がかかっていない」ということです。
でも、相手は次に何もしなければどうなるでしょうか?
自分は銀将(ぎんしょう)を持っているので、次にこうしますよね?
この状態は、2二の銀将で相手の王将に「王手」をしています。
しかも、以下の通り、相手の王将はどこに逃げても取られてしまいます。
- 3一へ逃げると→2二の銀将に取られる
- 1一へ逃げると→2二の銀将に取られる
- 3二へ逃げると→2三の銀将に取られる
- 1二へ逃げると→2三の銀将に取られる
このように、相手の王将は、何もしないと「詰み」の状況へ追い込まれてしまうので、冒頭の局面(下記参照)は、「詰めろ」と呼ばれています。
必至の意味は?詰めろとの違いは?
詰みと詰めろの違いは?
「詰み」は、以下の2つの条件を共に満たす状態のことです。
- 王手がかかっている
- どこへ逃げても次に王将を取られてしまう
「詰めろ」は、王手はかかっていないのですが、何もしないと、「次に詰みの状況へ追い込まれる」ことをいいます。
「逃げられる詰めろ」と「逃げられない詰めろ」がある
逃げられる詰めろ
じゃあ、もう少し進んでみましょう。
「詰めろ」の局面では、放置せずに逃げれば、「詰みへ追い込まれない」状況を作れる場合があります。
このように3一へ王将を逃せば、「詰み」にならなくなります。
つまり、相手の王将は逃げ切れるのです。
「右端の局面のように、銀将を打たれたら負けでは?」と思ってしまいますが、水色のマスには銀将は動けません。
つまり相手の王将は、「詰めろ」をかけられた時に、3一のマスへ逃げておけば、仮に3二へ銀将を打たれても、水色のマスへ逃げられるのです。
このように、「詰めろ」の中には、「逃げられる詰めろ」があります。
「逃げられない詰めろ」が「必至」
この詰めろを考えてみましょう(持ち駒は金将1枚)。
上で解説した「詰めろ」と同じように、まだ王手はかかっていません。
でも「次に詰みの状態へ追い込まれる状態」です。
例えば、1二へ銀将を動かしたり、持ち駒の金将を1二へ打つ手です。
それはまずいので、相手は防御を図りますが、どんな手を打っても、持ち駒の金将を使えば、「詰み」の状況へ追い込むことができます。
- 2一へ王将を逃がしたら→2二へ持ち駒の金将を打つ
- 2一へ駒を打ったら→1二へ持ち駒の金将を打つ
つまり上の局面は、「どこへ逃げても・どこへ持ち駒を打っても、詰めろを解消できない(逃げられない)」詰めろです。
これを「必至」といいます。
なので相手が勝ちたければ、自分よりも先に自分の王将を「詰み」へ追い込むしかありません。
「詰み」「詰めろ」「必死」の違いをおさらい
「詰み」は、「王手」がかかっていて、どこへ逃げても王将が取られる状態のことを言います。
「詰めろ」は、「今は王手がかかっていない」けれど、何もしないと「次に詰みの形へ追い込まれる」状態のことを言います。
そして「必死」は、「詰めろ」のうち、「どう凌いでも、次に詰みの形へ追い込まれる」状態のことを言います。
こちらの記事もおすすめです