史上初の6人によるプレーオフで注目された名人戦の挑戦者決定戦も、今日が第5局で挑戦者が誰か決まります。対戦カードは、羽生善治竜王vs稲葉陽八段です。そこで今回も、いつもの速報に合わせて戦型予想をしてみました。
速報は、当記事の下の方で随時更新していきます。羽生竜王が名人戦挑戦者に。
将棋名人戦プレーオフ第5局
プレーオフの仕組み
将棋名人戦の挑戦者は、原則全将棋プロが参加する順位戦の、5つのリーグの最上位リーグA級の成績トップの人です。
仮に複数の将棋プロが同じ勝ち星で並んだら、プレーオフ一番勝負を行いますが、3名以上になると組み合わせに工夫が必要です。
そこで将棋名人戦は、順位が一番下の将棋プロから順に、上位の将棋プロと対戦していくという仕組みを導入しています。
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第3局までの流れ
プレーオフに進出した6名の将棋プロで、リーグ順位が一番下だったのは豊島将之八段でした。
従って第1局は、豊島将之八段と久保利明王将でスタートしました。
久保王将の振り飛車穴熊戦法で始まった対局は、久保王将の猛攻を凌ぎ切った豊島八段が勝利を収めます。
続く第2局は、勝ち上がった豊島八段と名人獲得2期の実績を誇る佐藤康光九段でした。
序盤から、佐藤康光九段が得意とする角交換型振り飛車という戦法で、激しい応酬で始まりましたが、最後は豊島八段が佐藤九段の王将を討ち取りました。
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順位が一番下の豊島八段が2連勝したことで俄然盛り上がってきたプレーオフの第3局は、豊島八段と将棋タイトル王位の獲得経験がある広瀬章人八段でした。
お互いの大駒角行を交換し合う角換わり戦法でスタートした対局は、またしても豊島八段の勝利で終わります。
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第4局の結果
プレーオフが後半に入り、いよいよ大本命の羽生善治竜王が登場します。
豊島八段の4連勝なるかで大いに注目された第4局は、羽生善治竜王が幼少の頃から得意とする「横歩取り戦法」で始まりました。
最後は、お互いが全く防御をしない攻め合いになり、「どちらが読み勝っているのか?」というギリギリの攻防を、羽生善治竜王が制し、最終決戦へ駒を進めました。
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羽生善治竜王vs稲葉陽八段
羽生善治竜王
他の現役棋士の追随を許さないぶっちぎりの記録は、名人戦の舞台も同様です。
名人在位9期、名人戦登場16回はいずれも、現役将棋プロで最多です。
「今回も」の思いはひとしおでしょう。
昨秋の竜王戦の時もそうでしたが、「最後のチャンスかもしれない」と自分に言い聞かせていらっしゃるかもしれません。
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稲葉陽八段
初のタイトル戦の舞台となった昨年の名人戦は、序盤を2勝1敗という成績でリードしながら、最後は3連敗を喫し、苦杯をなめました。
今回こそはと、静かに闘志を燃やされているだろう中で、再びチャンスが巡ってきた「名人戦挑戦者」の座。
「最善を尽くして、必ず勝つ!」の思いを秘められているのは想像に難くありません。
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戦型予想!
前回の対戦は?
直近の対戦は、2018年3月21日に行われた順位戦A級で、この時は「横歩取り3三角形」と呼ばれる戦型でした。
ライバルの森内さんは、「羽生さんは、負けっぱなしが嫌なようで、ある戦法で負けると、次にもその戦法で来る可能性が高い」とおっしゃっています。
森内説に従うと、A級順位戦では稲葉八段に苦杯を喫したので、「横歩取り3三角形」になるかもしれません。
最近の対局は?
羽生竜王の直近5局の戦型を見ると、以下のように満遍なくいろんな戦法を指されています。
- 横歩取り3三角形
- 横歩取り3三角形
- その他の戦型
- 矢倉
- 四間飛車
「偏りなく」の観点からは、「相掛かり」「角換わり」「ゴキゲン中飛車」などが候補として考えられます。
一方の稲葉八段の直近5局の戦型は、以下の通りです。
- 横歩取り3三角形
- 矢倉
- 角換わり
- 横歩取り3三角形
- ゴキゲン中飛車
こちらも、満遍なく戦法を指されています。
両者の過去の対局から、戦型を予測するのは難しいかもしれません(笑)。
挑戦者は誰?
テニスでいうマッチポイントのような、「ここは勝たないと」という対局をほぼ勝ってくる信頼度は、羽生竜王が群を抜いています。
一方の稲葉八段も、昨年名人戦の挑戦者になったという「経験」は、軽視できません。
羽生竜王の今期の勝率は.577で、一方の稲葉八段も.591と、ほぼ互角です。
スレスレの白熱した勝負と見て間違い無いでしょう。
速報
速報(10時30分時点)
稲葉八段の先手で、10時から対局が始まりました。
注目された戦型は、お互いの飛車先の歩を早々に交換し合う「相掛かり」という戦法に進んでいます。
最初のポイントは王様をどこへ据えるかですが、まず羽生竜王が、真ん中の列の2段目に王様を据えました。
速報(11時25分時点)
相掛かり戦法のポイントの一つ「飛車の前の歩兵」を、羽生竜王は持ち駒にする手順へ進めます。
お互いに自分の歩兵を持ち駒にする手順へ進めた後、飛車をどこに据えるか注目されていましたが、6段目に据えた稲葉八段に対し、羽生竜王は5段目に据えました。
速報(14時45分時点)
陣形整備を進める羽生竜王に対し、稲葉八段は羽生陣の歩兵を1つ捕獲しようと試みます。
角行を一段上へ上がった羽生竜王に対して、稲葉八段は右の桂馬を跳ねる準備をします。
そこから羽生竜王はどう動くかが、注目されます。
速報(16時30分時点)
羽生竜王の方から動くのが難しいのか、飛車を最下段まで引き下げて、稲葉八段へ手を渡します。
稲葉八段は、羽生竜王の王様の左斜めから攻めかかる準備を始めると、羽生竜王は右側へ逃走路を確保しました。
速報(18時時点)
稲葉八段は、狙っていた羽生陣左側からついに攻撃を開始します。
攻撃がひと段落すると羽生陣が建て直されてしまうので、歩兵の派遣や角行の交換などを矢継ぎ早に進めます。
羽生竜王は、稲葉八段の攻撃を引っ張り込んで受ける魂胆なのか、稲葉八段の飛車を呼び込んで、金将をぶつけます。
速報(19時40分時点)
稲葉八段は、金将をぶつけられた飛車を逃げることなく、羽生竜王の王将の近辺へ歩兵を派遣する手を選びます。
飛車を差し出す代わりに、王手金将取りをかけて、飛車と金将の交換に持ち込んだのです。
逃走を図る羽生竜王の王様に対し、稲葉八段は追撃するための駒の補給を図ります。
相手の言い分を通しては勝ち目はないと、羽生竜王は、稲葉八段の攻撃の要の駒の馬(角行のパワーアップした駒)へ攻撃を仕掛けます。
その後、馬と角行の交換になり、危なかった羽生竜王の王様がやや安全になったとの評価が出ています。
速報(20時30分時点)
攻撃が切れかかった稲葉八段は、攻撃の拠点になっている歩兵を、遠隔で角行がサポートする形へ持っていきます。
一方の羽生竜王は、局面のほぼ中央に角行を据え、稲葉陣の右側を狙います。
将棋プロの間では、羽生竜王が逆転したとの評判になっています。
速報(21時15分時点)
攻守・形勢が入れ替わると、稲葉八段は防御に徹します。
羽生竜王の角行が自陣へ進んでくると、飛車の打ち込みを防ぐために、稲葉八段は自陣深くへ角行を退却させました。
速報(22時15分時点)
羽生竜王は、歩兵を複数投入して稲葉陣を崩しにかかります。
羽生陣が鉄壁なため、稲葉八段は受けに徹しますが、徐々に差が開いていきます。
攻撃の手段がないため、稲葉八段は鬼辛抱を続けています。
速報(22時54分時点)
指せばさすほど、羽生竜王の駒得が増えていきます。
辛抱もこれまでと、稲葉八段が投了しました。
これで、名人戦の挑戦者は羽生善治竜王に決まりました。
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