順位戦が終わるまでは、名人の影が薄くなってしまいがちですが、将棋界の第一人者です。そこで今回は、「羽生善治二冠から名人を奪った人」「藤井聡太四段が公式戦で負かした名人」として有名な、「佐藤天彦名人」や成績にフォーカスを当てました。
佐藤天彦名人とは?
佐藤名人
常に高い勝率を維持し続けて、各棋戦で満遍なく活躍されている棋士として有名です。
加えて、三段リーグで3位を2回取って、条件付きで四段(プロ棋士)になれる権利を手にしたにも関わらず、「条件付き」であることを嫌って辞退されたことも、当時は驚きをもって迎えられていました。
筆者も「プロ棋士になれる権利を辞退する人がいるのか!?」と、とても驚いたことを覚えています。
ただ一方で、「強い人なら、きっちり結果を残してプロ棋士になられるだろう」とも思っていました。
当然ながら後年三段リーグで上位2位以内に入って、無事にプロ棋士になったのは言うまでもありません。
強さ
デビュー当初から、容易に土俵を割らない芯の通った将棋を指す方として有名でした。
スポーツ・頭脳協議を問わずトッププロに求められる大きな資質の一つがこの「粘り強さ」で、各界で活躍されているトッププロは、ほぼ例外なくこの資質を持っています。
負けにくいと、相手がしびれを切らしてしまい、結果的に勝利を手にすることができるからです。
「不利になったらやられてしまう」というプレッシャーも相手にかかるので、相手のミスを誘発させてもくれます。
これに加えて、最近のインタビュー記事では、「勝率を犠牲にしてでも、中長期的な視野で将棋を勉強し直した」と言った類のことを仰っていました。
勝負の世界なのに、「将棋の基礎体力をまずは底上げしよう」という発想が自然に湧いてくるところが、器の大きさを感じさせます。
佐藤天彦名人の成績
羽生善治との名人戦
デビューから順調に順位戦で昇級を重ね、A級昇級初年度に「8勝1敗」という好成績で名人挑戦を決めます。
時の名人は、絶対王者の羽生善治名人。
前評判は、当然ながら羽生善治名人が有利でした。
ところが名人戦七番勝負が開幕すると、初戦を落とした後に一気の4連勝で羽生善治名人を破って、初タイトル名人を手にしたのです。
キャリア通算成績も勝率.678を誇っていて、佐藤名人を上回る通算勝率を誇っているのは、トップ棋士では豊島将之二冠・斎藤慎太郎王座・羽生善治九段の3人しかいません。
不動の名人といってもいいでしょう。
羽生善治名人は、タイトル戦で滅多に4連敗をしないことで有名で、その粘り強さこそが強さの源泉です。
そんな棋士を相手に、4勝1敗で名人をダッシュしたことは、佐藤天彦名人の評価をますます高めることになりました。
現時点でも通算勝率は6割8分と、トッププロとして堂々たる成績を収めています。
https://shogipocket.com/challenge-match-for-grand-master/
なお、名人戦を含め、以下のタイトル戦に出場・獲得経験があります。
名人戦 | 現在3連覇中 |
王座戦 | 挑戦1回 |
棋王戦 | 挑戦1回 |
叡王戦 | 優勝1回 |
藤井聡太との対局
負けたことで、藤井聡太四段の引き立て役になってしまいましたが、朝日杯オープンで藤井聡太四段と対局しています。
対局後に述べられた感想では、藤井聡太四段の実力の高さを、身を以て感じられたようです。
談話からすると「藤井聡太の強さは本物」と評価しているように聞こえました。
https://shogipocket.com/fujii-beated-grand-campion/
名人戦の予想
昨日の記事で「挑戦者は豊島八段」と予想しましたが、仮に実現したらどんな七番勝負になるのでしょうか?
前述の通り佐藤名人はタイトル獲得2期を始め、棋戦優勝経験も豊富です。
一方の豊島八段も、現在王将戦に挑戦中(2局終了時点で1勝1敗)の上に、タイトル挑戦経験も王座・王将・棋聖に各1回の合計3回と、実績も豊富です。
佐藤天彦名人と同様に、粘り強さの定評も高く、いつタイトルを獲ってもおかしくないと言う評価です。
過去の実績からすると予想は難しいのですが、昨日に続き勝手予想で「佐藤天彦名人が4勝3敗で防衛」と予想します!
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