全将棋プロ棋士中ただ一人通算勝率が8割を超えている藤井聡太七段は、歴代の覇者(羽生善治・谷川浩司・渡辺明)と比べるとどうなるのでしょうか?様々な角度から「藤井聡太七段と歴代王者(羽生善治・谷川浩司・渡辺明)」を比較するシリーズの第9回は、「先手と後手の勝率」の比較を、保存版としてまとめました。
目次
藤井聡太と羽生善治・谷川浩司・渡辺明を比較第9回
【藤井聡太と羽生善治・谷川浩司・渡辺明を比較🤔】
✅先手の勝率
藤井 89.5%
羽生 75.1%
谷川 65.0%
渡辺 70.8%✅後手の勝率
藤井 82.9%
羽生 66.3%
谷川 56.5%
渡辺 61.4% pic.twitter.com/5wmuIhZeTS— 将棋ポケット@将棋ブログ (@shogipocket) 2019年5月14日
プロの将棋は先手が有利
将棋プロ棋士の世界では、先手番がやや有利とされています。
不利な後手番でどんな工夫をするかが悩みの種なので、後手番の勝率が高いと、必然的に勝率は大きく伸びていきます。
先手と後手の勝率を比較
総合
こちらは、4人の先手と後手の勝率をグラフにしたもので、色の濃い方が先手です。
わけても目を引くのは、藤井聡太七段の高い勝率です。
先手でも後手でも勝率は8割を超えているので、対戦相手としては精神的に不利な状況に追い込まれます。
特に先手の勝率は9割近くに達していて、負けるのは10回に1回という驚異的な水準です。
そして、やはり王者といえるのは羽生善治九段の成績で、先手でも後手でもほぼ7割近い勝率を残しています。
角換わり
先手 | 後手 | |
藤井聡太 | .867 | .857 |
羽生善治 | .680 | .576 |
谷川浩司 | .680 | .522 |
渡辺明 | .824 | .590 |
AIの登場で花形戦法の感のある角換わりの比較表ですが、先手でも後手でも9割に迫る確率で勝っている藤井聡太七段の成績に、やはり目がいきます。
渡辺明二冠も先手番の勝率は驚異的ですが、やはり藤井聡太七段以外の3名は、後手番での勝率が5割台に落ち込むので、対応に苦心されているようです。
矢倉
居飛車戦法の本丸とも言える、矢倉戦法での勝率はどうでしょうか?
先手 | 後手 | |
藤井聡太 | 1.000 | .857 |
羽生善治 | .760 | .674 |
谷川浩司 | .671 | .609 |
渡辺明 | .692 | .681 |
まだ対局数が少ないのもありますが、先手番で負けたことがない藤井聡太七段の成績を見ると、もはや笑いしか出てきません。
角換わりの隆盛までは矢倉がぶっちぎりで居飛車の花形戦法だったので、矢倉でどんな勝率をあげられるかは、トッププロ棋士たちのテーマでした。
その観点では、羽生善治九段の先手勝率は.760は驚異的です。
渡辺明二冠の「先手でも後手でも勝率が同じ」というのは興味深い特色です。
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