女流棋士の里見香奈さんは女流将棋界の第一人者で、女流タイトル戦も女流名人戦をはじめ、たくさん出場されています。気になる里見香奈さんの年収・収入を、賞金と対局料を使って試算してみました。
目次
賞金
推測計算とその根拠
公開されているのは、マイナビ女子オープンと女流王座戦の500万円だけです。
そのため、年収を知るには、関係する情報を元に推測計算をせざるを得ません。
そこで参考になるのが、以下の2つの情報です。
- 将棋プロ(非女流)の賞金・対局料
- 囲碁界の女流タイトルの賞金
将棋と囲碁は別々の競技ですが、日本では「囲碁と将棋」という感じで、一般的に両者は同列の競技と扱われます。
そうすると、将棋側も囲碁側も、賞金や対局料で同列以上をスポンサーに求めていきます。
そのため、囲碁の女流タイトル戦の賞金が参考になるのです。
ただ、囲碁界の方が交渉は上手なようで、非女流のタイトル戦も女流タイトル戦も囲碁の方が賞金は高くなっています。
囲碁の女流タイトル戦の賞金は?
囲碁の世界には、5つの女流タイトル戦があって、それぞれ以下のようになっています。
タイトル戦名 | 賞金 | 対局数 | 後援者・協賛者 |
女流本因坊戦 | 550万円 | 五番勝負 | 共同通信社 |
女流棋聖戦 | 500万円 | 三番勝負 | NTTドコモ |
女流名人戦 | 350万円 | 三番勝負 | 産経新聞社 |
立葵杯 | 700万円 | 三番勝負 | 毎日新聞社 |
女流最強戦 | 800万円 | 一番勝負 | センコーグループ |
最近創設された立葵杯と女流最強戦の賞金は高めになっていますが、対局数が多いほど賞金が高くなっています。
将棋プロのタイトル戦は?
女流タイトル戦と同じく非公表が多いのですが、一覧表にまとめると以下のようになります。
タイトル戦名 | 賞金 | 対局数 | 主催・協賛 |
竜王戦 | 4,320万円 | 七番勝負 | 読売新聞社 |
名人戦 | 3,450万円※ | 七番勝負 | 毎日新聞社・朝日新聞社 |
叡王戦 | 2,000万円※ | 七番勝負 | ドワンゴ |
王位戦 | 800万円※ | 七番勝負 | 新聞三社連合 |
王将戦 | 500万円※ | 七番勝負 | スポーツニッポン・毎日新聞社 |
王座戦 | 500万円※ | 五番勝負 | 日本経済新聞社 |
棋王戦 | 500万円※ | 五番勝負 | 共同通信社 |
棋聖戦 | 1,000万円※ | 五番勝負 | 産経新聞社・ヒューリック |
※各種報道を元にした推測計算
男女の区別なく出場できるタイトル戦と女流のタイトル戦では、将棋・囲碁を問わず、賞金に差があります。
女流タイトル戦の賞金と対局料を試算してみた
賞金を試算する前提
マイナビ女子オープンと女流王座戦を除いて、賞金は公開されていません。
なので、いくつかの前提を置いて試算してみました。
非公開の理由
「非公開」とするのは、「マイナビ&女流王座戦に比べて金額が低いから」なのは間違い無いでしょう。
例えば400万だったら、「少し低いだけ」なので公開するでしょう。
逆に、マイナビ&女流王座戦より高いのなら、「女流タイトル戦で最高額!」と売りにできます。
非公開なのは、「かなり低いから」だと考えるのが、自然でしょう。
対局数
囲碁の女流タイトル戦には、対局数に比べて高めに設定されているものがあります。
ただ、全般的な傾向としては、三番勝負よりも五番勝負の方が賞金額は高くなります。
非女流タイトル戦とのバランス
女流のタイトル戦の賞金の方が、男女区別なく出場できるタイトル戦よりも割安に設定されています。
8大タイトル戦の最低賞金が500万円なので、それよりも低い金額に設定されると推測するのが自然でしょう。
賞金の試算結果
女流タイトル戦の情報!例えば女流名人戦の賞金は?
試算をする前に、女流タイトル戦の情報をまとめてみました。
タイトル戦名 | 賞金 | 対局数 |
清麗戦 | 700万円 | 五番勝負 |
マイナビ女子オープン | 500万円 | 五番勝負 |
女流王座戦 | 500万円 | 五番勝負 |
女流名人戦 | 非公開 | 五番勝負 |
女流王位戦 | 非公開 | 五番勝負 |
女流王将戦 | 非公開 | 三番勝負 |
倉敷藤花戦 | 非公開 | 三番勝負 |
試算結果
以下の2つの前提を置いて、試算しました。
- かなり低い=単価は2タイトル戦の半額
- 非公開の4つのタイトル戦の1局あたり単価は同じ
マイナビ女子オープンも女流王座戦も、五番勝負で500万円です。
なので、1局あたりの単価は100万円です。
これに、「かなり低い=半額」という調整をかけると、1局あたりの単価は50万円です。
この単価を使って、非公開の4タイトル戦の賞金を試算すると、以下のようになります。
タイトル戦名 | 賞金試算 | 計算 |
女流名人戦 | 250万円 | 50万円×5 |
女流王位戦 | 250万円 | 50万円×5 |
女流王将戦 | 150万円 | 50万円×3 |
倉敷藤花戦 | 150万円 | 50万円×3 |
対局料の試算
女流棋士の対局料も公開されていないので、試算してみましょう。
賞金のトップは、8大タイトル戦のトップが竜王戦の4,320万円に対し、女流タイトル戦はマイナビ&女流王座戦の500万円です。
竜王戦は、「将棋界最高賞金」を謳い文句に割高に賞金が設定されているので、試算では二番目の「名人戦:3,450万円」を使います。
名人戦:約3,500万円 ⇄ マイナビ&女流王座戦:500万円
つまり、両者には7倍の差があるので、「7分の1」という数字を使って、試算してみます。
将棋プロの段位は、四段から九段までですが、女流棋士は女流3級から女流六段まで9ランクに分かれます。
なので、以下のように試算しました。
将棋プロ | 対局料試算 | 女流棋士 | 対局料試算 | |
九段 | 80万円 | ×1/7 | 六段 | 12万円 |
八段 | 75万円 | ×1/7 | 五段 | 11万円 |
七段 | 70万円 | ×1/7 | 四段 | 10万円 |
六段 | 50万円 | ×1/7 | 三段・二段 | 7万円 |
五段 | 35万円 | ×1/7 | 初段 | 5万円 |
四段 | 30万円 | ×1/7 | 1級〜3級 | 4万円 |
なお、以下の関連記事で紹介している通り、将棋プロの対局料も公表されているわけではなく、「試算」であることを含み置きください。
試算結果は少なからず低く見えます。
でも一方で、将棋プロの四段よりも女流六段の方が待遇がいいことは考えにくく、女流棋士の中には会社勤めをしている人もいると耳にします。
試算結果は、実際の金額とあながち外れてなくはないでしょうか。
里見香奈さんの年収は?
賞金
里見香奈さんが現在持っている5つのタイトルと、賞金(試算を含む)をまとめると、以下のようになります。
タイトル戦名 | 賞金試算 |
女流王座戦 | 500万円 |
女流名人戦 | 250万円 |
女流王位戦 | 250万円 |
女流王将戦 | 150万円 |
倉敷藤花戦 | 150万円 |
合計すると、1,300万円になります。
以前、当ブログで将棋プロ新人の年収を試算しましたが、賞金だけで将棋プロ四段の年収を超えている計算になります。
対局料
里見香奈さんの2017年度(2017年4月〜2018年3月)の対局数は、20局です。
段位は女流五段なので、上で計算したレートは10万円です。
よって対局料の試算は、200万円になります。
年収
賞金と対局料以外にもタイトル戦の解説(聞き手)の収入があるでしょうが、実態は掴みにくいので考慮外します。
そうすると、賞金が1,300万円で対局料は200万円なので、合計は1,500万円です。
なお、加藤桃子女王の年収も、以下の関連記事で試算しています。
なお、加藤桃子女王の年収は、以下の関連記事で試算しています。
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