藤井聡太六段が、半年で五段から六段へ昇段したことで注目されている「将棋プロ棋士の段位・昇段規定」。昔ほど棋士の実力は反映していないと言われていますが、依然として棋士の格を示す指標です。そこで今回は、将棋プロ棋士の昇段規定にフォーカスを当てながら、藤井聡太六段の昇段スピードとも比較してみました。
目次
将棋プロ棋士の段位と昇段の仕組み
段位は、名人挑戦者を決める&棋士の格を決める順位戦や、竜王戦そして、8大タイトル戦の成績によって上がっていきます。
つまり、実績をあげるほど段位が上がっていく仕組みになっています。
逆に目立った実績を上げられなければ、勝ち星規定で昇段していくほかはなく、タイトルを獲る場合に比べて昇段スピードはどうしても遅くなります。
五段 | 四段になってから100勝 |
六段 | 五段になってから120勝 |
七段 | 六段になってから150勝 |
八段 | 七段になってから190勝 |
九段 | 八段になってから250勝 |
プロ棋士の昇段規定(藤井聡太の七段はいつ?)
将棋の世界では、四段からがプロ棋士の段位とされています。
そこで以下では、四段から九段までの昇段規定をまとめました。
四段
プロ棋士の養成機関である「奨励会」の最上位クラスである「三段リーグ」は、年に2回(半年間)開催されます。
「三段リーグ」で上位2名に入ると、四段へ昇段することができ、将棋プロ棋士としてデビューします。
このほかにも、「三段リーグ」で上位3番目(次点)に2回入ると、同じく四段(将棋プロ棋士)へ昇段できます。
但し、原則として10年以内に以下の規定を満たさないと順位戦の最下位クラスC級2組(現在藤井聡太六段が在籍)へ進むことができず、引退しなければいけません。
良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上
出典:日本将棋連盟
なお、順位戦については以下の関連記事で解説していますので、参考にして下さい。
同様に、竜王戦でも各棋士は1組〜6組までのクラスに所属していて、所定のクラスへ上がると昇段することができます。
五段
いくつかルールがあるのですが、主なハードルとして以下があります。
- C級1組へ昇級
- 竜王戦のクラスが2期連続昇級
- 竜王戦のランキング戦で3回優勝
- 8大タイトル戦に挑戦を決める
- 全ての棋士が参加する棋戦で優勝
藤井聡太六段は、1つ目の要件を満たしたので、五段に昇段しました。
六段
勝ち星規定以外の主なルールとして、以下のものがあります。
- B級2組へ昇級
- 竜王戦のランキング2組へ昇級
- 竜王戦のクラスが2期連続昇級
- 竜王戦のランキング戦で3回優勝
- 五段に昇段してから、全ての棋士が参加する棋戦で優勝
- 五段に昇段してから、8大タイトル戦で挑戦を決める
藤井聡太六段は、5つ目の要件を満たしたので(五段昇段後に朝日杯将棋オープン優勝)、六段へ昇段しました。
七段
勝ち星規定の他に、主に以下の要件があります。
- 竜王挑戦を決める
- 竜王戦ランキング1組への昇級を決める
- 竜王戦ランキング戦で連続昇級(例えば去年6組優勝、今年5組優勝)
- B級1組へ昇級
- 8大タイトルを1期獲得する
- 六段に昇段してから、全ての棋士が参加する棋戦で優勝
藤井聡太六段が今後1年以内に達成可能な要件は、「竜王戦ランキング戦で連続昇級」「竜王挑戦」か「全棋士参加棋戦優勝」です。
「連続昇級」のケースは、早ければ2018年5月には実現する可能性がありました。
実際に、2018年5月18日に七段昇段を果たしましたが、以下の関連記事で七段昇段が決まった対局の模様を、詳しく紹介しています。
https://shogipocket.com/sota-match-information/
八段
八段は、トップクラスの棋士であることの証明になる段位で、勝ち星規定以外の主な規定として、以下があります。
- 竜王を1期獲得
- A級へ昇級
藤井聡太六段が今後1年以内に達成可能な要件は、羽生竜王への挑戦を決めて、竜王戦七番勝負で羽生竜王に勝つことです。
なお、以下の関連記事で詳しく解説しています。
九段
現行規定になる前は、「九段=名人の段位」とされていました。
勝ち星規定以外の主なものは、以下の通りです。
- 竜王を2期獲得
- 名人を1期獲得
- 8大タイトルを合計3期獲得
藤井聡太六段が今後1年間で達成することが可能な要件は、残念ながらありません。
藤井聡太六段と過去の棋士の昇段比較
昇段規定は時代によって改定されるため、単純に過去の記録と比較はできませんが、主なトップ棋士の昇段記録と比較すると以下の通りです。
谷川十七世名人 | 羽生竜王 | 渡辺棋王 | 藤井聡太七段 | |
四段(プロデビュー) | 14歳 | 15歳 | 15歳 | 14歳 |
五段 | 16歳 | 17歳 | 18歳 | 15歳 |
六段 | 17歳 | 19歳 | 20歳 | 15歳 |
七段 | 19歳 | 20歳 | 21歳 | 15歳 |
八段 | 20歳 | 22歳 | 21歳 | ? |
九段 | 21歳 | 23歳 | 21歳 | ? |
渡辺棋王の六段から九段までの昇段スピードが驚異的ですが、これは昇段規定が改正されたことも影響しています。
但し渡辺棋王は竜王を9連覇しており、竜王連覇が昇段に与える影響の大きさをあらためて感じます。
上記の4人はいずれも中学生でデビューしていますが、中でも藤井聡太六段が4人中トップのスピードで昇段しています。
今後の活躍に要注目です!
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