藤井聡太ブームで、子供の将棋熱が高まっています。熱中する子供を見守っていたら、ある日子供が「将棋プロ(棋士)になる・なりたい!」ということもあるでしょう。将棋に馴染みがない親御さんには青天の霹靂で、「将棋プロになるにはどうするの?」と疑問も出てくるでしょう。そこで今回は、このような疑問に応える情報をまとめました。
将棋プロ(棋士)の仕組み・制度
四段からが将棋プロ
将棋の世界には、一定の成績をおさめることで上がっていく「段位」があります。
一番上が九段で、一番下は原則6級です。
このうち四段になったら、将棋プロとして認められて、デビューします。
つまり、対局をしてお金がもらえる立場になるということです。
奨励会と三段リーグ
将棋プロになるには、その養成機関である「奨励会」に入会しないといけません。
奨励会の段位は原則6級から三段までで、奨励会の一番上にある「三段リーグ」で原則上位2名に入ると「四段」へ昇段し、将棋プロになります。
[速報] 第64回三段リーグは、
出口若武三段(中央)と黒田尭之三段が四段昇段を果たしました。
おめでとうございます。 pic.twitter.com/PwYiybCIUP— 将棋世界 (@shogi_sekai) 2019年3月3日
https://shogipocket.com/women-challenge-for-shogi-professional/
プロの段位はアマチュアの段位と違う
「6級」というと「なんだ、大したレベルじゃないのでは?」と思ってしまいがちですが、そうではありません。
プロの世界の6級は、アマチュアで換算すると三〜四段レベルです。
ある程度の規模のある将棋道場で、ほぼトップレベルにならないといけないということです。
年齢制限がある
奨励会に入ればいずれ将棋プロになれる、というわけではありません。
以下のように厳しい年齢制限があるので、定められたタイミングまでに昇段していないと、退会を余儀なくされてしまいます。
満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。
出典:日本将棋連盟
原則的には6級で奨励会に入会するので、21歳の誕生日の時点で初段になっていなければなりません。
また、26歳の誕生日の時点で開催されている三段リーグまでに、将棋プロ(四段)になっている必要があります。
「年齢制限による奨励会退会」の最近の事例では、女流棋士の絶対王者の里見香奈さんが、三段まで上り詰めながら退会を余儀なくされたことが記憶に新しいです。
史上初の女性プロ棋士を目指していた里見香奈三段(女流五冠)が、26歳の年齢制限により志半ばで奨励会を退会した。それまで初段が最高だった女性の段位記録を一人で二つ塗り替え、女流タイトルの8割を(おそらくこの先も)常に独占する彼女は、女流棋士内の偏差でいえば羽生善治をゆうに凌ぐ圧倒的存在だ pic.twitter.com/oy0xb7hqex
— けいくん (@InvestKei) 2018年2月18日
子供が将棋プロ(棋士)になるにはどうする?方法は?
必ずこの通りにしないといけないというわけではありませんが、一般的な手順をまとめています。
まず研修会へ入ろう
研修会とは?
地元の将棋教室や道場で将棋の実力を磨き、アマチュアの有段者になったら、「研修会」へ入会しましょう。
もちろん入会試験もありますが、無事に入会できると、会員同士での対局に加えてプロの先生の指導対局などが受けられます。
なお、研修会で一定の成績を収めると、将棋プロの養成機関である「奨励会」へ編入(一次試験免除)することもできます。
例えば関西研修会の場合、年齢は9歳から26歳まで幅広く在籍しています。
但し、会員全員が将棋プロを目指しているわけではなく、単純に将棋をより深く取り組みたいという気持ちで入会している人たちもいます。
中日新聞には、かつて藤井四段も通った東海研修会の記事。
天才は突然現れるのではなく、地元でコツコツと将棋普及のために尽くしてこられた方々の力があって初めて花開くものなんだろうなと思います。 pic.twitter.com/3OdAgpzucc— 白鳥士郎 (@nankagun) 2017年6月25日
研修会はどこにある?
関東・関西・東海・九州の4箇所で開催されています。
将棋プロも研修会へ入ったの?
藤井聡太六段を始め、後述する将棋トッププロ(藤井猛九段・丸山忠久九段)も研修会を経由して、奨励会へ入会しています。
早い段階で将棋プロと接点を持とう
将棋プロとの接点はどこで?
小学校中学年の段階でアマチュア三段程度あれば、なるべく早い段階で、日本将棋連盟へ出向いて将棋プロの方と接点を取るようにしましょう。
もちろん、入門の頃から将棋教室で将棋プロと接点を持ち続けるという方法もあります。
将棋プロと接点を取る理由は?
なぜ将棋プロと接点を取る必要があるかというと、目的は2つあります。
まず1つは「強くなるため」です。
やはりプロの方は、当然ながら将棋の基本的な考え方・アプローチを心得ていらっしゃるので、アマチュアが何をすればいいのかのアドバイスがもらえます。
2つ目は「師匠・推薦人になってもらう」です。
奨励会を受験するには、「受験の推薦を受けたプロ棋士を通じて」受験申込書を提出するからです。
いつまでに奨励会へ入らないといけないか?
一般的なのは小学校6年前後(但し制限ではない)
厳しい年齢制限が課されていることもあって、奨励会の一番下の段位(6級)の年齢は、17歳〜11歳です。
藤井聡太六段が小学4年生で奨励会に入ったケースなど、大成している将棋プロの方には早熟の方が少なからずいます。
入会が遅くてもトッププロになった棋士はいる
「早いほどいい」という風潮もありますが、一方で将棋トッププロの中にも奨励会へ入ったのが遅かった方はいます。
例えば、竜王3連覇を達成した藤井猛九段は16歳で入会していますし、名人2期の丸山忠久九段も2回奨励会の受験に失敗した後15歳で入会しています。
奨励会の入会試験
受験資格がある
前述の研修会でC1というクラス以上に属しているか、日本将棋連盟が主催している小学生・中学生向けの全国大会でベスト4に入っている必要があります。
詳しくは「奨励会入会試験のご案内」で検索すると、確認することができます。
どんな試験?
一次試験と二次試験があります。
一次試験は筆記試験と対局試験からなり、対局試験は受験者同士で行われます。
二次試験は対局試験と面接試験からなり、対局の試験官は奨励会員が担当します。
今日は奨励会試験日なのですね、自分の力が出しきれますように祈っております。 pic.twitter.com/6GTc82liHK
— ゼルダさん (@l_zelda) 2018年8月15日
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