史上初の6人によるプレーオフで注目された将棋名人戦は、羽生善治竜王が挑戦者になりました。迎え撃つのは、2連覇中の佐藤天彦名人。今日は、4月11日から開幕するのを前に、見どころのまとめや、どっちが勝つか結果を予想してみました。
羽生善治竜王
名人在位9期で永世名人
23歳で名人戦に初挑戦し、米長邦雄名人を4勝2敗で破って、幼少期からの念願である名人になりました。
その後、森内俊之九段(十八世名人)との8度に渡る名人戦の激闘を経て、名人在位は9期に渡ります。
通算5期を達成した名人経験者に与えられる「永世名人」の称号も、現役でいうと谷川浩司(十七世)、森内俊之(十八世)についで、「十九世名人」の称号を得ています。
【関連記事】
【森内俊之】ライバル羽生との名人戦エピソード・対戦成績は?フリークラス転出の理由は?
在位は9期の他に、舞台に1度出るだけでも難しい名人戦の舞台に16回(今回は17回目)出場しているという、空前の記録も残されています。
現役の将棋プロでこの記録に並ぶ人はなく、歴代の記録を紐解いても、上回っているのは以下の2名だけで、いずれも時代の覇者・大名人です。
- 大山康晴十五世名人(13連覇を含む在位18期、出場:24回)
- 中原 誠十六世名人(9連覇を含む在位15期、 出場:18回)
永世七冠
新しく将棋タイトル戦に昇格した叡王戦を除き、「連覇」「通算」などの一定の条件を満たしたタイトルホルダーには「永世〇〇」という称号が与えられます(下記参照)。
- 永世名人
- 永世竜王
- 永世王位
- 永世棋聖
- 名誉王座
- 永世棋王
- 永世王将
昨年末の竜王戦で「通算7期」の要件を満たし、空前絶後の「永世七冠」を達成しました。
【関連記事】
6人プレーオフを勝ち抜いた!
将棋名人戦の挑戦者になるには、将棋プロの格を決めるリーグでもある順位戦の最高峰A級でトップの成績を収めなければいけません。
仮にトップの成績が複数名だった場合はプレーオフで挑戦者を決めますが、2017年度はなんと6人が同じ星で並びました。
当ブログでも何度か特集しましたが、最後に勝ったのは大本命の羽生善治竜王でした。
改めて、勝負強さを証明する結果になりました。
【関連記事】
羽生善治竜王vs稲葉陽八段の速報・戦型予想! 将棋名人戦プレーオフ第5局で挑戦者は誰?
【関連記事】
将棋名人戦の挑戦者は誰? 6人のプレーオフの仕組みと結果の予想は?
現在二冠王
2017年度は王位と王座の防衛に失敗しましたが、一方で竜王の奪取に成功しました。
棋聖は防衛できていたので、現在は竜王と棋聖の二冠王です。
将棋タイトル100期が目前!
昨年末の竜王戦で、将棋タイトルの通算獲得数が99期になりました。
2位の大山康晴十五世名人が80期なのでそれだけでも凄いのですが、今回の名人戦でいよいよ100期を目指します。
佐藤天彦名人
羽生善治名人から名人位を奪取
デビュー当初から強豪棋士として有名でしたが、挑戦が2度失敗しタイトルには手が届いていませんでした。
ところが、初のA級順位戦をトップで制して、羽生善治名人への挑戦者に名乗りをあげました。
何と言っても将棋界の絶対第一人者が相手だったので、名人有利の前評判でしたが、初戦を負けた後に、なんと4連勝で、羽生善治名人から名人位を奪取することに成功したのです。
【関連記事】
【佐藤天彦名人】どれくらい強い?藤井聡太・羽生善治との対局や名人戦に迫る!
名人戦2連覇中
翌年に挑戦者として名乗りをあげたのは、佐藤天彦名人と同じくA級初参加の稲葉陽八段。
第3局まで1勝2敗と先行される苦しい展開でしたが、その後は3連勝を飾り、名人戦2連覇を達成しています。
将棋名人戦の見どころは?
将棋タイトル通算100期・名人10期
挑戦者の羽生善治竜王には、「将棋タイトル通算100期」「名人10期」という節目の記録がかかります。
名人戦3連覇
一方で防衛側の佐藤天彦名人にも、「名人戦3連覇」という記録がかかります。
80年以上にわたる歴代の記録を紐解いても、名人戦を3連覇したことのある将棋プロは以下の5名しかなく、非常に難易度の高い記録です。
大山康晴十五世名人 | 13連覇 |
中原誠十六世名人 | 9連覇 |
木村義雄十四世名人 | 5連覇 |
森内俊之十八世名人 | 4連覇 |
羽生善治十九世名人 | 3連覇 |
竜王と名人を併せ持つ?
名人位は、竜王と並んで将棋界最高峰のタイトルなので、併せ持つことは名誉なことであると同時に、非常に達成の難しい記録です。
竜王戦が比較的新しいタイトル戦という割引材料もありますが、過去に両方を併せ持った将棋プロは、以下の3名しかいません
- 羽生善治竜王・名人(1994年、2003年)
- 谷川浩司竜王・名人(1997年)
- 森内俊之竜王・名人(2004年、2013年)
どっちが勝つか結果を予想!
戦型は?
羽生善治竜王の戦型・戦法
挑戦者の羽生善治竜王はオールラウンドプレーヤーとして有名なので、どんな戦法も指しこなします。
ただ、直近5局に絞ると以下の戦法を採用しており、やや居飛車に偏ってはいます。
- 角換わり腰掛け銀
- 相掛かり
- 横歩取り3三角型
- 横歩取り3三角型
- 雁木
佐藤天彦名人の戦型・戦法
一方の佐藤天彦名人は居飛車党で、直近5局も全て居飛車です。
- 矢倉
- 横歩取り3三角型
- 横歩取り3三角型
- 横歩取り3三角型
- その他の戦型(居飛車)
名人戦で採用される戦型・戦法は?
仮に佐藤天彦名人が振り飛車を採用するようなことがあれば、相振り飛車も考えられますが、おそらくないでしょう。
よって、オーソドックスながら、以下の戦型が採用されるだろうと予想します。
- 矢倉
- 横歩取り3三角型
勝率は?
お二方のキャリア通算・2017年度の勝率を比較すると、以下のとおりです。
佐藤天彦名人 | 羽生善治竜王 | |
.457 | 2017年度 | .593 |
.682 | キャリア通算 | .712 |
お二方とも将棋トッププロとの対戦がメインなので、勝率は突出していませんが、一流棋士の証であるキャリア勝率7割前後を記録していることから、実力伯仲と見ていいでしょう。
対戦成績は?
7勝7敗の五分で、タイトル戦の戦績も1勝1敗(名人戦:佐藤天彦勝利、王座戦:羽生善治勝利)。
対戦成績の観点からは、お互いに苦手意識はないと見ていいでしょう。
なお、第3局は、以下の関連記事で速報しています。
こちらの記事もおすすめです