藤井聡太七段の快進撃や羽生善治竜王の永世七冠で、注目されている将棋プロ棋士。強さと凄さの「最強は誰ランキング(将棋誰が一番強い)」はどうなるのでしょうか? 今日は、A級棋士などの強さや勝率ランキングと、九段のすごさをまとめました。
目次
将棋プロ棋士と将棋界
奨励会と将棋プロ棋士
将棋の世界では、四段からが「将棋プロ棋士」として認められます。
原則6級から三段までは、「奨励会」と呼ばれる要請機関に所属して、勝ち進んでいく必要があります。
なお、将棋プロの級位・段位は、アマチュアの級位・段位とは異なります。
一般的には、アマチュア四段が、将棋プロの6級とほぼ同じと言われています。
奨励会の6級とはプロの視点から見た6級であり、アマチュアの6級とは全く異なります。アマチュアの段位に換算すると、大体四段くらいです。
出典:株式会社いつつ
奨励会の最高段位である三段になったら、「三段リーグ」と呼ばれるリーグに所属し、原則成績上位2名に入れば、めでたく将棋プロ棋士(=四段)として認められます。
女流棋士の制度もある
奨励会を入り口とした制度である「将棋プロ棋士」以外に、女性だけが入ることのできる制度として「女流棋士」があります。
女性の奨励会員
将棋で生計を立てたい女性が、必ず女流棋士を目指すというわけではありません。
現在奨励会に所属している女性は5名いらっしゃいますが、女流棋士は兼ねていません。
強さと凄さのランキング(将棋誰が一番強い?)
強い人ランキング!最強ランキングの仕組みは?
過去3年のタイトル戦の成績で評価
強さや凄さを測る方法は、無数にあります。
そこで当ブログでは、「タイトル獲得数」「タイトル戦出場数」「勝率」の3つの指標でランキングすることにしました。
なお、あまり過去まで遡ると、今の強さ・凄さが見えにくくなるので、直近3年の数値に限定しました。
また、タイトル獲得数とタイトル戦敗退数の価値をどう見るかですが、議論はあるものの「タイトル獲得数 = タイトル戦敗退数 × 3」で評価することにしました。
勝率は隠れた強豪プロ棋士を発掘する指標
「勝率」を加えたのは、隠れた強豪将棋プロ棋士を発見するためです。
予選で勝ちまくっていても、肝心な対局で不運にも負けていれば、タイトル戦までは上がってきません。
しかし、勝率が高いということは、いいところまで勝ち上がってきている証拠なので、「いずれタイトルを獲る人」と見ることができます。
以上から、「タイトル獲得数&タイトル戦敗退数」をメインのランキングとしつつ、勝率を補足のランキングにしました。
タイトル戦の成績は?
過去3年間のタイトル戦の記録は、以下の通りです。
なお、現在進行中のタイトル戦(名人戦・叡王戦・棋聖戦)は除外し、2015年度〜2017年度の記録で評価しています。
順位 | 氏名 | タイトル獲得 | タイトル戦敗退 | 評価指数 |
1位 | 羽生善治 | 9 | 4 | 31 |
2位 | 渡辺明 | 5 | 1 | 16 |
3位 | 佐藤天彦 | 2 | 2 | 8 |
4位 | 久保利明 | 2 | 0 | 6 |
5位 | 中村太地 | 1 | 0 | 3 |
5位 | 菅井竜也 | 1 | 0 | 3 |
7位 | 豊島将之 | 0 | 2 | 2 |
7位 | 糸谷哲郎 | 0 | 2 | 2 |
7位 | 永瀬拓矢 | 0 | 2 | 2 |
※評価指数 = タイトル獲得数 × 3 + タイトル戦敗退数
タイトル戦に、2回以上出ている人を抽出しました。
若手が台頭してきている中でもトップが羽生善治竜王なのは、いかに突出した成績を維持し続けているかがわかります。
将棋プロ棋士の勝率ランキング
過去3年間の勝率上位ベスト5は、以下の通りです。
順位 | 氏名 | 勝率 |
1位 | 藤井聡太 | .846 |
2位 | 大橋貴洸 | .770 |
3位 | 永瀬拓矢 | .737 |
4位 | 千田翔太 | .719 |
5位 | 佐々木勇気 | .715 |
羽生善治竜王や渡辺明棋王のように、タイトル戦線で対局し続けると、相手も超強敵なので、どうしても勝率が下がってしまいます。
そのため、勝率上位に来るのは、若手・新鋭将棋プロが多くなります。
もちろん、七冠時代の羽生善治さんのケースは例外ですが。
このうち、永瀬拓矢七段は2回、千田翔太六段は1回タイトル戦へ出場しています。
つまり、7割を超える勝率を維持し続けている将棋プロは、近くタイトル戦に出て来る可能性が高いと言えます。
その観点から見れば、藤井聡太七段・大橋貴洸四段・佐々木勇気六段は、要注目です。
ちなみに、上位5名の将棋プロの3年間の勝率推移をグラフにしてみました。
藤井聡太七段と大橋貴洸四段の実質デビュー初年度は2016年なので、2015年の成績は割り引いて考える必要がありますが、5名とも3年間ずっと勝率7割前後を維持しています。
藤井聡太七段の凄まじさは他言を待たずですが、このグラフを見て改めて感じるのは、大橋貴洸四段の凄さです。
藤井聡太七段と同期でなければ、もっと騒がれていたはずです。
羽生善治
タイトル戦の成績は上述の通りですが、勝率に目をうつしても.3年間の勝率は.580と勝ち越しています。
タイトル戦の対局が大半な中で勝率が5割を超えているということは、タイトルを防衛していることの方が多いことの証明です。
こういった実績もあって、「将棋界の第一人者」と目されているのです。
藤井聡太の凄さは?
将棋プロ棋士の中で、唯一勝率が8割を超えています。
単年度で8割を超えた方は、過去にも何名かいらっしゃったのですが、毎年超えているとなると空前絶後でしょう。
タイトルを獲らない方が不思議との見方もできますし、タイトルを獲るのは時間の問題でしょう。
全ての棋士が参加する朝日杯で、絶好調の渡辺明棋王を倒して連覇しましたし、タイトル経験者の久保利明九段に以下のコメントを残させるのは、紛れもなくトッププロの証拠です。
久保利明九段と藤井聡太七段の棋聖戦2次予選決勝は久保九段が127手で勝ち、藤井七段の決勝トーナメント進出はなりませんでした。久保九段は「非公式では負けており、トップ棋士だと思って準備してきた。ずっと難しい将棋だった」と熱戦を振り返っていました。 pic.twitter.com/x2OAT4KXru
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) 2019年3月11日
なお、藤井聡太七段のリアルタイムの速報は、以下の記事で日々更新していきます。
https://shogipocket.com/fujii-performance-ranking/
最強は誰?
現時点では、「羽生善治」に異論はないでしょう。
今後、この議論に「藤井聡太」がどこまで食い込んでくるかが注目です👀
A級棋士の凄さランキング
以下の記事でまとめています。
将棋の九段のすごさは?
将棋のプロ棋士は、四段からはじまって最高段位は九段です。
名人が世襲制のときは「九段=名人の段位」とされていたので、名実ともに「最強者の称号」でした。
ところが、名人が実力制にかわり「通算勝ち星数」で「九段」へ昇段が可能になってから、様子が一変しました。
「並のプロ棋士」でも、ある程度長いキャリアを過ごせば「九段」へ昇段することが可能になったのです。
「九段=すごい」とは必ずしも言えなくなりました。
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