今日は、将棋タイトル戦の一つ「棋王戦」五番勝負の第3局が、渡辺明棋王 vs 永瀬拓矢七段で行われています。ここまで1勝1敗ですが、どちらがリードするのでしょうか? A級降級など不調の続く渡辺明棋王はどうなるのでしょうか? 今回は、棋王戦の速報記事をお伝えします。
目次
結果速報(3月11日17時55分更新)
当記事の下の方で更新しています。
将棋タイトル戦
全部で8つ
将棋界には8つの大きな大会があり、「タイトル戦」と呼ばれています。
一番大きなタイトル戦は、名人戦と竜王戦で、このうち竜王戦は賞金が将棋界最高の4,320万円と非常に高額になっています。
名人戦は、8つあるタイトル戦の中でも最も歴史が古く、A級と言われるトッププロだけが所属するリーグで、トップの成績をおさめないとにならないと挑戦すらできないということで、最も格式の高いタイトル戦です。
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棋王戦は?
棋王戦の仕組み
8つの中で3番目に新しいタイトル戦で、五番勝負で決着します。
つまり、5局のうち先に3つ勝った方が勝利し、「棋王」を名乗れます。
棋王戦の歴史
羽生善治竜王が、2番目に早く獲得したタイトルとして知られています。
その後、空前の12連覇を達成したため、「王座」とともに羽生さんのタイトルというイメージが強くなりました。
連覇が止まった後は、久保棋王の3連覇などを経て、現在は渡辺明棋王が5連覇中です。
棋王戦・王将戦が開催中
前年末に竜王戦が決着した後の1月〜3月は、王将戦七番勝負と棋王戦五番勝負が開催されます。
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その後は、4月から名人戦七番勝負と続いていきます。
渡辺明棋王とは?
竜王9連覇と永世竜王
竜王9連覇
渡辺明棋王の現時点までのキャリアハイライトは、何と言っても竜王9連覇と永世竜王獲得でしょう。
渡辺明棋王の連覇の前には、藤井猛九段の3連覇が最高で、「連覇が難しいタイトル戦」というイメージがありました。
将棋の長いタイトル戦の歴史でも、9連覇を超える連覇記録は少なく、以下の通りです。
名前 | タイトル戦 | 連覇 |
羽生善治 | 王座戦 | 19連覇 |
大山康晴 | 名人戦 | 13連覇 |
羽生善治 | 棋王戦 | 12連覇 |
中原誠 | 名人戦 | 9連覇 |
渡辺明 | 竜王戦 | 9連覇 |
挑戦者がトッププロである上に、絶好調のまま挑戦してくるので、連覇が難しいのはいうまでもありません。
初代永世竜王
永世竜王になるには、「竜王5連覇」か「竜王通算7期獲得」のいずれかを達成しないといけません。
竜王を4連覇した後に挑戦してきたのは、羽生善治名人(当時)でした。
この時点で羽生善治名人は竜王を6期獲得していたので、勝った方が「初代衛生竜王」となる意味で、非常に注目された七番勝負でした。
しかも、出だしから羽生善治名人の3連勝。
当時の将棋界では、3連敗4連勝の逆転防衛という記録がゼロだったので、誰もが羽生善治名人の竜王奪回を予想しました。
ところが、その後怒涛の4連勝で大逆転防衛を達成し、初代永世竜王となったのです。
将棋界初の快挙を、史上最強棋士である羽生善治名人を相手に達成したことは、非常に大きな驚きでした。
なお羽生善治名人は、2017年に渡辺明竜王から竜王を奪回し、「永世竜王&永世七冠」を達成しています。
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永世棋王
他の永世称号には、通算獲得数の要件もあるのですが、永世棋王だけは「5連覇」しないと獲得できません。
現在この称号を得ているのは、羽生善治(12連覇)と渡辺明(5連覇)の2名のみです。
A級降級など続く不調
竜王を獲得して以降の13年間、常にタイトルを1つ以上持ってきた渡辺明棋王ですが、昨年末の竜王戦から不調が続いています。
将棋トッププロだけが所属できる「A級」リーグからも、陥落してしまいました。
仮に今回の棋王戦で永瀬七段に敗れると、ついに無冠となってしまいます。
永瀬拓矢七段とは?
タイトル挑戦は2回目
2016年に初のタイトル戦挑戦となる棋聖戦で、羽生善治棋聖に挑戦しています。
最終的には2勝3敗でタイトル獲得はなりませんでしたが、今でも通算勝率が7割を超える、強豪棋士の一人です。
順位戦はC級1組
3月13日に最終局が行われますが、現在8勝1敗で2番手につけており、勝利すればB級2組への昇級が決まります。
棋王戦第3局の速報
9時から対局開始!
渡辺明棋王の先手で、9時から対局が始まっています。
二人とも持ち時間は4時間なので、今日中に勝負が決着します。
将棋タイトル戦の中には2日間かけて対局が行われるものもありますが、棋王戦は1日で決着します。
- 2日制:名人戦・竜王戦・王位戦・王将戦・叡王戦
- 1日制:棋王戦・王座戦・棋聖戦
戦型は角換わり
将棋には戦う型のようなものがあり、「戦型」と呼ばれます。
第3局では、「角換わり」という戦型が採用されました。
これは、序盤早々に両対局者の大駒である「角行」を交換する指し方で、持ち駒になった「角行」をどう使うかがポイントになります。
結果速報(渡辺明棋王の勝利)
角換わりの戦型を取った後、挑戦者の永瀬拓矢七段は、右側の銀将をどんどん前へ繰り出す「棒銀戦法」を採用しました。
まだ対局開始から1時間も経っていませんが、互いの陣形整備が終わる前から、渡辺明棋王の陣地の左側で戦端が開かれています。
その後、陣形整備に入ろうとした永瀬七段に対し、渡辺明棋王は王様を動かすことなく、盤面右側で戦闘を開始しています。
そんな中でもお互いに間合いを図りながら、攻撃の隙を探っています。
その後、真ん中の筋に王様を構えた永瀬七段に対し、そこをめがけて渡辺明棋王が攻撃を開始します。
将棋プロ棋士が検討している控え室では、「渡辺明棋王有利」の声が出始めています。
優位に立った渡辺明棋王が、永瀬七段の反撃を的確に受けて、駒得を着実に重ねています。
永瀬七段は、悩ましい手を連発し、渡辺明棋王のミスを誘おうとしていますが、持ち時間を1時間以上多く残している渡辺明棋王は、慎重に考慮を重ねています。
永瀬七段の手を的確に受け、王様を安全地帯へ逃した渡辺明棋王に対して、攻め手がなくなった永瀬七段は投了(負けを認める)しました。
これで、渡辺明棋王の2勝1敗となり、棋王6連覇へ残り1勝としました。
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