将棋タイトルは、凄そうなイメージはありますが、具体的にはイメージが掴みにくい印象があります。今回は、タイトルの種類の一覧から、賞金・格序列・日程スケジュール・ 歴代将棋タイトル獲得数ランキングをまとめました。
目次
将棋タイトルの種類と格・序列
序列・格は、竜王と名人がトップで、賞金とほぼ連動する関係にあります。
詳しくは以下の関連記事で解説しています。
将棋タイトルの賞金
公表されているのは、竜王戦の4,320万円のみです。
一方で、賞金は雑誌で紹介されることがあり、ほぼ似通った金額になっています。
具体的には以下の関連記事で紹介していますが、竜王戦に継ぐのは名人戦の約3,450万円とされています。
日程やスケジュール
将棋の世界は、将棋プロの格を決めるリーグ戦「順位戦」をベースに1年が回っていきます。
順位戦は4月から始まって、翌年の3月まで1年間をかけて行われるので、将棋界の暦も、4月〜3月で見るのが一般的です。
名人戦・順位戦
順位戦
5つのクラスに分かれていて、一番上のリーグ「A級」の優勝者が名人戦の挑戦者になります。
上から順に「A→B級1組→B級2組→C級1組→C級2組」という順番で、将棋プロがデビューしたら、原則C級2組からスタートします。
A級には10名の将棋プロが所属するので、それぞれが1年間で9局を消化していきます。
稀にぶっちぎりで挑戦者になることもありますが、例年は接戦になることが多く、2017年度は6名によるプレーオフになりました。
なお、2018年度のA級順位戦はすでに始まっていて、以下の組み合わせて名人戦挑戦者を決めます。
次の挑戦者は、2019年3月1日に決まる予定です。
出典:日本将棋連盟
名人戦七番勝負
プレーオフが6人になるのは史上初でしたが、大抵は3月に名人戦挑戦者が決まり、4月から6月にかけて名人戦七番勝負が行われます。
ちなみに七番勝負(佐藤天彦名人vs羽生善治竜王)は現在進行中で、第2局まで終わって1勝1敗です。
出典:日本将棋連盟
名人戦・順位戦スケジュールまとめ
順位戦 | 七番勝負 |
4月〜翌年3月 | 翌年4月〜翌年6月 |
叡王戦
段位別予選と本戦
2017年度からタイトル戦へ昇格した叡王戦ですが、挑戦者を決める仕組みが他のタイトル戦と少し変わっています。
具体的には、段位別の予選を勝ち抜いたら本戦を戦って、挑戦者を決めるという仕組みです。
段位別の予選は、6月からスタートし、10月まで行われます。
本戦は、11月からスタートして、翌年1月に挑戦者が決まります。
叡王戦段位別予選(四段戦)
出典:叡王戦公式サイト
叡王戦本戦トーナメント
出典:日本将棋連盟
叡王戦七番勝負
今年度は初めてのタイトル戦ということもあって、本戦の決勝へ進出した2名が七番勝負を戦います。
4月から6月にかけて叡王戦七番勝負が行われます。
2018年の叡王戦七番勝負は現在進行中で、高見泰地六段vs金井恒太六段の対局は第2局まで消化して、高見六段が2連勝とリードしています。
出典:日本将棋連盟
https://shogipocket.com/eiou-match-information/
叡王戦まとめ
段位別予選 | 本戦 | 七番勝負 |
6月〜10月 | 11月〜翌年1月 | 翌年4月〜翌年6月 |
棋聖戦
仕組み
一次予選→二次予選→決勝トーナメントの順で、挑戦者決定戦が進行していきます。
一次予選は6月〜11月に、二次予選は12月〜3月にかけて行われ、決勝トーナメントは4月〜5月に行われます。
棋聖戦五番勝負
5月に挑戦者が決まると、6月〜7月にかけて棋聖戦五番勝負を行います。
ちょうど、名人戦が終わる前後から始まって、王位戦が始まるあたりまでです。
2018年の挑戦者はすでに豊島将之八段で決定しており、自身5度目のタイトル戦を羽生善治棋聖と戦います。
(追記)
豊島将之八段が3勝2敗で羽生善治棋聖をやぶり、ついに初タイトルを獲得しました。
棋聖戦まとめ
一次予選 | 二次予選 | 決勝トーナメント | 五番勝負 |
6月〜11月 | 12月〜翌年3月 | 翌年4月〜翌年5月 | 翌年6月〜翌年7月 |
王位戦
挑戦者を決める仕組み
予選を勝ち抜くと、挑戦者決定リーグへ進みます。
挑戦者決定リーグは、紅組と白組の2つあり、それぞれのリーグに各5名の計10名が所属しています。
それぞれのリーグの優勝者が、一番勝負を行って、勝った方が挑戦者になります。
出典:日本将棋連盟
予選は8月から翌年の1月にかけて行われ、挑戦者決定リーグは3月から5月にかけて5局消化されます。
出典:日本将棋連盟
リーグで優勝した者同士で戦われる挑戦者決定戦は、6月に行われます。
王位戦七番勝負
夏の風物詩でもある王位戦は、暑い盛りの7月から9月にかけて七番勝負が行われます。
挑戦者は、18年5月5日時点ではまだ決まっていません。
王位戦まとめ
予選 | 挑戦者決定リーグ | 挑戦者決定戦 | 七番勝負 |
8月〜翌年1月 | 翌年3月〜翌年5月 | 翌年6月 | 翌年7月〜翌年9月 |
王座戦
タイトル挑戦までの仕組み
一次予選から始まり、二次予選を経て挑戦者決定トーナメントへ進出します。
一次予選は、9月から翌年1月にかけて行われます。
二次予選は、2月から3月にかけて行われます。
決勝トーナメントは5月から7月にかけて行われ、4連勝すれば挑戦者になることができます。
2018年度の決勝トーナメントは現在進行中で、注目の藤井聡太六段は18年5月7日に1回戦が組まれています。
出典:日本将棋連盟
王座戦七番勝負
王位戦に続いて行われる王座戦は、9月から10月にかけて五番勝負が行われます。
詳しくは後述しますが、羽生善治竜王が1992年から2017年までずっと五番勝負に登場し続けている空前の記録が残っています。
2018年はどうなるのか神のみぞ知る世界ですが、決勝トーナメントには「羽生善治」ときっちり名を連ねています。
王座戦まとめ
一次予選 | 二次予選 | 決勝トーナメント | 五番勝負 |
9月〜翌年1月 | 翌年2月〜翌年3月 | 翌年5月〜翌年7月 | 翌年9月〜翌年10月 |
竜王戦
挑戦者を決める仕組み
名人戦の順位戦と同じように、竜王戦にもランキング戦という将棋プロの格を決める要素を持った、トーナメント戦があります。
ランキング戦は、1月から5月にかけて行われます。
ランキング戦には1組から6組まで分かれていて、上位1名〜5名に入れば決勝トーナメントへ進みます。
決勝トーナメントは、6月から9月にかけて行われ、決勝まで進むと三番勝負を戦い、勝者が竜王戦の挑戦者になります。
以下は2017年(昨年)の決勝トーナメント表ですが、上のランキングへ進むほど「決勝三番勝負」までの距離が近く設定されています。
竜王戦七番勝負
王位戦が終わる秋口から冬は、竜王戦の季節です。
具体的には10月から12月にかけて、七番勝負が行われます。
竜王戦は、過去から羽生善治・渡辺明両トッププロの初タイトルになったり、渡辺明の9連覇や羽生善治竜王の永世七冠達成など、何かと話題の多い傾向があります。
竜王戦まとめ
ランキング戦 | 決勝トーナメント | 決勝三番勝負 | 七番勝負 |
1月〜5月 | 6月〜8月 | 8月〜9月 | 10月〜12月 |
王将戦
挑戦までの仕組み
一次予選から始まり、A級プロなどが参加する二次予選を経て、挑戦者決定リーグという流れを経て、挑戦者を決めます。
このうち、挑戦者決定リーグは7名在籍しているのですが、残留できるのが4名だけという、残留が極めて難しいリーグとしても知られています。
一次予選は2月から8月にかけて、二次予選は9月に、挑戦者決定リーグは10月から11月にかけて行われます。
王将戦七番勝負
竜王戦が終わって年が明けると、王将戦の季節になります。
冬の2タイトル戦の一つです。
王将戦まとめ
一次予選 | 二次予選 | 挑戦者決定リーグ | 七番勝負 |
2月〜8月 | 9月 | 10月〜11月 | 翌年1月〜翌年3月 |
棋王戦
挑戦までの仕組み
予選→挑戦者決定トーナメントという流れで、挑戦者を決めます。
他のタイトル戦と異なった特徴として、決勝トーナメントの準決勝まで勝ち上がると、「2敗失格システム」が採用されている点です。
予選は1月から6月にかけて行われ、決勝トーナメントは6月から12月にかけて行われます。
棋王戦五番勝負
王将戦とほぼ並行して開催される冬のタイトル戦の1つで、2月から3月に五番勝負が行われます。
棋王戦まとめ
予選 | 挑戦者決定トーナメント | 五番勝負 |
1月〜6月 | 6月〜12月 | 翌年2月〜翌年3月 |
歴代獲得数ランキング
叡王戦は2017年からタイトル戦へ昇格したので、他の7タイトル戦について紹介します。
名人戦
昔から、将棋界の最高峰と位置付けられてきたタイトル戦で、竜王戦が創設されてからも、名人戦・竜王戦は、将棋界のビッグタイトルという位置付けです。
獲得数ランキング
最強の人が長く在位する傾向があるので、時代の覇者の獲得数が多くなる傾向があります。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 大山康晴 | 18期 |
2位 | 中原誠 | 15期 |
3位 | 羽生善治 | 9期 |
連覇ランキング
戦前から続くタイトル戦なので、連覇記録もすごい記録がいくつかあります。
一方で、挑戦者を決める仕組みから、「長い期間」「強い」文字通り最強の挑戦者が登場します。
なので、連覇が頻繁に起きるわけではないのも特徴の一つです。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 大山康晴 | 13連覇 |
2位 | 中原誠 | 9連覇 |
3位 | 森内俊之 | 4連覇 |
棋聖戦
1994年までは年に2回行われていたタイトル戦なので、連覇や獲得数もすごい記録がいくつかあります。
連覇ランキング
ランキングの上位には、やはり大山・羽生の両大名人が名を連ねています。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 羽生善治 | 10連覇 |
2位 | 大山康晴 | 7連覇 |
3位 | 佐藤康光 | 6連覇 |
獲得数ランキング
近年まで1年に2度開催されていたので、獲得数が多くなっています。
偶然にも大山・中原・羽生の3巨頭の獲得数が、1位で並んでいます。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 羽生善治 | 16期 |
1位 | 大山康晴 | 16期 |
1位 | 中原誠 | 16期 |
王位戦
名人戦・棋聖戦と同じように、主なタイトルホルダーが大山→中原→羽生という流れ推移してきました。
連覇ランキング
王位戦も、やはり大山・中原・羽生が上位を占めています。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 大山康晴 | 12連覇 |
2位 | 羽生善治 | 9連覇 |
3位 | 中原誠 | 6連覇 |
獲得数ランキング
羽生善治王位が連覇を2度続けたこともあり、ランキングトップに名前を連ねています。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 羽生善治 | 18期 |
2位 | 大山康晴 | 12期 |
3位 | 中原誠 | 8期 |
王座戦
羽生善治王座のホームグラウンドと言えるタイトル戦で、連覇・獲得の両ランキングのぶっちぎりトップを占めています。
連覇ランキング
王座戦はタイトル戦に昇格したのが1982年と比較的新しいことと、羽生善治王座が長く君臨してきたこともあって、連覇した人は2名しかいません。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 羽生善治 | 19連覇 |
2位 | 中原誠 | 4連覇 |
獲得数ランキング
羽生善治王座という絶対王者が長く君臨してきたこともあって、2期以上獲得したのは、羽生・中原の2名だけです。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 羽生善治 | 24期 |
2位 | 中原誠 | 6期 |
竜王戦
竜王戦は、九段戦→十段戦→竜王戦という流れで、タイトルの名前が変わってきた歴史があります。
大山康晴名人・中原誠名人の全盛期には竜王戦はなかったので、ランキングにも名前は出てきません。
十段戦・九段戦の歴史を紐解くと、当然のように両巨頭の名前が出てきて、以下のような記録が残っています。
- 大山康晴:通算14期・最長6連覇
- 中原誠:通算11期・最長6連覇
タイトル戦の仕組みが異なるので、以下では竜王戦の数値のみ抽出しています。
連覇ランキング
タイトル戦の連覇というと、ほぼ全てで「羽生善治」の名前が出てくるのですが、竜王戦だけは例外で、羽生善治竜王は2連覇にとどまっています。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 渡辺明 | 9連覇 |
2位 | 藤井猛 | 3連覇 |
獲得数ランキング
渡辺明竜王のホームグラウンド的なタイトル戦なので、連覇だけでなく獲得数もトップを占めています。
もちろん連覇記録に名前がなくても、獲得数では当然のように羽生善治竜王の名前があります。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 渡辺明 | 11期 |
2位 | 羽生善治 | 7期 |
3位 | 谷川浩司 | 4期 |
王将戦
時の名人だった大山康晴王将に、挑戦者の升田幸三が香車を落として勝ったという「名人に香車を落として勝つ」伝説が有名です。
記憶面は升田王将に譲りつつも、記録ランキングには、軒並み大山王将の名前が残っています。
連覇ランキング
大山康晴王将のホームグラウンドだったので、連覇記録も堂々の1位に輝いています。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 大山康晴 | 9連覇 |
2位 | 中原誠 | 6連覇 |
2位 | 羽生善治 | 6連覇 |
獲得数ランキング
獲得数でも、連覇ランキングの3名が上位を占めています。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 大山康晴 | 20期 |
2位 | 羽生善治 | 16期 |
3位 | 中原誠 | 7期 |
棋王戦
永世称号を獲得するのが一番難しいと言われるタイトル戦で、現に2名しか「永世棋王」は誕生していません。
連覇ランキング
近年は「棋王」から遠ざかっていますが、少し前までは羽生善治棋王のホームグラウンドだったので、ランキングにも羽生善治の名前が出てきます。
タイトル戦としては、比較的新しい部類に入るので、連覇記録・獲得数記録ともに、大山・中原の名前は出てきません。
順位 | 氏名 | 連覇 |
1位 | 羽生善治 | 12連覇 |
2位 | 渡辺明 | 6連覇 |
3位 | 米長邦雄 | 4連覇 |
獲得数ランキング
やはり、連覇記録の3名が上位に名前を連ねています。
順位 | 氏名 | 獲得数 |
1位 | 羽生善治 | 13期 |
2位 | 渡辺明 | 6期 |
3位 | 米長邦雄 | 5期 |
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