女流棋士と女性奨励会員の実力・強さランキング! 最強・トップは里見香奈か西山朋佳?

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将棋を職業にしている女性のことを女流棋士といいますが、奨励会には、女性も入会していて、強い女性もいます。里見香奈さんや西山朋佳さんも含めた女流棋士・女性奨励会員の実力・強さランキングをまとめました。最強・トップは一体誰なのでしょうか?







女流棋士

将棋プロ棋士とは別の制度

女流棋士は、将棋プロ棋士とは別枠で運営されている制度です。

将棋プロ棋士は、原則として奨励会を突破すれば、男女区別なくプロになることができます。

まだ奨励会を突破した女性はおらず、将棋プロ(四段)の直前まで到達しているのは、西山朋佳三段です。

https://shogipocket.com/tomoka-cutting-edge-information/

一方の女流棋士は、以下で解説する「女流棋士になるには」の要件の他に、女性のみなることができる制度です。




女流棋士になるには?

女流棋士になるには、大きく分けると3つの方法があります。

研修会から女流棋士へ(方法1)

奨励会や女流棋士の下部的な組織に、「研修会」があります。

研修会は、会員がお互いに将棋の腕を磨く場で、現時点で全国に4箇所(関東・東海・関西・九州)あります。

研修会では、成績に応じてクラスが分かれていて、以下の条件を満たせば女流棋士になることができます。

  • 研修会でB2へ昇級かつ、入会からの対局数が48局以上
  • 研修会入会試験でB2以上で入会
  • 27歳以下

アマチュアから女流棋士へ(方法2)

女流タイトル戦のうち4つのタイトル戦で以下の成績を収めるか、非タイトル戦の「女流将棋YAMADAチャレンジ杯」で優勝すれば、女流棋士になることができます。

タイトル戦名 要件
マイナビ女子オープン 本戦ベスト8進出以上
女流王座戦 本戦ベスト8進出以上
女流王将戦 本戦ベスト8進出以上
倉敷藤花戦 ベスト8進出以上

これらのタイトル戦には、当然ながらほぼ全ての女流棋士が参加します。

なので、本戦ベスト8までアマチュアが進出するのは、かなり難しいと言えます。




奨励会から女流棋士へ(方法3)

奨励会を退会するときに2級以上であれば、同じ級位・段位で女流棋士になれるという制度があります。

例えば、現在1級の女性奨励会員が奨励会を退会して女流棋士になれば、「女流1級」になるという感じです。

奨励会2級以上で退会の場合は、退会時の段級位でそのまま女流棋士の資格を得る

出典:日本将棋連盟

この制度を使って女流棋士になったのは、岩根忍女流三段(奨励会退会時1級)と伊藤沙恵女流二段(奨励会退会時1級)です。

タイトルが7つある

女流棋士の世界には、「タイトル戦」と呼ばれる大きな大会が6つあります。

具体的には以下の7つで、詳しくは関連記事で解説しています。

将棋の世界には、男女の区別をしない「将棋プロ棋士」以外に、女性だけに門戸が開かれた「女流棋士」という制度があります。女流棋士の世界でもタイトル戦があり、優勝者には賞金・永世称号もあり、女流名人戦も同様です。今日は女流タイトルの仕組みや奨励会との関係をまとめました。

誰が強い?

強さを測る目安として段位がありますが、現在の実力を必ずしも反映していない可能性があります。

そのため、過去3年間(2016年度・2017年度・2018年度)のタイトルホルダーと、タイトル戦へ出場されたけど敗退した方をまとめました。

カッコ書きは、タイトルを獲った回数、タイトル戦に出たけど敗退した回数を示しています。

年度 タイトルホルダー タイトル戦敗退
2018 里見香奈(4)

西山朋佳(1), 渡部愛(1)

加藤桃子(2), 里見香奈(1), 清水市代(1)

伊藤沙恵(1), 谷口由紀(1) 

2017 里見香奈(5), 加藤桃子(1) 伊藤沙恵(4), 上田初美(1), 加藤桃子(1)
2016 里見香奈(5), 加藤桃子(1) 谷口由紀(2), 上田初美(1), 加藤桃子(1)

岩根忍(1), 香川愛生(1)

この表を、「タイトルホルダー」&「タイトル戦敗退」の数でフィルターしてみます。

順位 氏名 タイトルホルダー タイトル戦敗退
1位 里見香奈 14 1
2位 加藤桃子 2 4
3位 伊藤沙恵 0 5
4位 谷口由紀 0 3
5位 西山朋佳 1 0
5位 渡部愛 1 0
5位 上田初美 0 2

「タイトルを1回獲る」のと「タイトル戦を2回敗退する」のどっちが価値が高いかは議論のあるところですが、筆者の独断で「1回獲る」=「2回敗退する」でランキングしました。

加藤桃子さんは女流棋士ではありませんが、出場しているタイトル戦は、必ずタイトル戦には出ている計算になり、実力の高さが垣間見えます。

伊藤沙恵さんは、奨励会を1級で退会されましたが、2017年度のタイトル戦に4回挑戦者になるなど、近年急速に台頭してきています。

今後の動向は、要注目です。




里見香奈さんが一番強い!女流棋士ランキング!

里見香奈さんは元奨励会員の女流棋士

上のランキング表で明らかなように、過去2年の女流棋士の世界では、里見香奈さんの強さが抜きに出ています。

ここ5年に対象を広げても、タイトル獲得数は里見香奈さんが突出していることがよく分かります。

順位 氏名 獲得数
1位 里見香奈 19期
2位 加藤桃子 6期
3位 甲斐智美 2期

合計30期のタイトルのほぼ3分2以上を獲得しているので、里見香奈さんの実績が突出しています。

以上から、「現時点」では女流棋士の世界では里見香奈さんが最強・トップと見ることに異論はないと思います。

女性奨励会員

奨励会と年齢制限

将棋プロになるには、奨励会に入会し、三段リーグを勝ち抜く必要があります。

しかも、奨励会はずっと在籍できるわけではなく、年齢制限という壁があります。

満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会

出典:日本将棋連盟

所定の年齢に達する前に、初段や四段(=将棋プロ)になることが求められています。

最近の例でいうと、三段まで到達していた里見香奈女流五冠が、年齢制限により退会しています。

里見香奈三段が7勝11敗で最後の三段リーグを終え、奨励会を退会しました。今後のことをまだ具体的には語られていませんが、女性棋士の道は諦めない...




女性奨励会員のまとめ

19年4月3日時点で奨励会に在籍している、女性奨励会員をリストにまとめました。

段位 氏名
三段 西山朋佳(23)
二段
初段 中七海(19)
1級
2級
3級
4級
5級 今井絢(17)
6級

※カッコ内の数字は年齢

170人を超える奨励会員がいる中で女性が3名とは、やはり少ないと言わざるを得ませんが、そんな中で西山朋佳さんが三段まで到達しているのは、大変な快挙です。

西山さんに続くのは、中七海さんです。

女流タイトル戦には出場されずに、奨励会一本で活動されています。

18年4月に初段へ昇段した中七海さんの奨励会の対局が、19年2月6日に行われました。気になる結果速報に加えて、今後はどうなるのかをまとめました(最新更新:2月15日)。

今井絢さんは2016年に奨励会へ入会され、4級まで進んだのですが、不調に陥り5級へ後退しています。

奨励会は概ね月に2回開催されるのですが、将棋プロ棋士を目指す奨励会員の中には女性もいます。今井絢さんもその一人で、結果や成績は気になるところです。今回は、今井絢さんの奨励会の最新情報をお伝えします(18年12月4日追記)。

磯谷祐維さんは2017年に奨励会へ入会されましたが、不調の時期もあり現在は7級で活動されています。

https://shogipocket.com/yui-next-challenge/




西山朋佳さんがトップ

奨励会の段位は、成績が悪ければ降級してしまうという、将棋プロ棋士や女流棋士の段位にはない特徴があります。

そのため、奨励会の段位は今の実力とこれまでの実績を兼ね備えた指標と見ていいでしょう。

里見香奈さんが三段で奨励会を退会された後、三段に迫っている人がいませんし、西山朋佳さんの三段リーグでの成績は、里見香奈さんを上回っています。

加藤桃子初段の女流タイトル戦の実績をどう評価するかという議論はありますが、女性奨励会員は、西山朋佳三段がトップと見ていいでしょう。

最強・トップは誰?

女流棋士の世界では里見香奈さんが、女性奨励会員では西山朋佳さんがトップでした。

両者は三段リーグで直接対戦がなく、女流のタイトル戦でも直接対決はありません。

ただ、2018年のマイナビ女子オープン本戦準決勝では、西山朋佳三段が勝利しています。

その後2019年に入って行われた叡王戦の女流代表決定戦では、里見香奈女流四冠が勝利しています。

19年4月9日から始まるマイナビ女子オープンの五番勝負でお二人が対戦するので、「どっちが強い?」を知るには格好の材料になります。

ただ、三段リーグでの成績や直近の直接対決の結果も総合すると、「現時点の」最強は西山朋佳三段と見ることができるのではないでしょうか。

なお、「最強」「トップ」の評価は、語る人の思い入れや感情が入りやすい分野なので、この結論はあくまで筆者の考えであることを含み置きください。







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