負けることがニュースになる感のある藤井聡太六段なので、七段・次の対局予定がいつなのか知りたいところです。そこで今回は、今後のスケジュール・最新対局予定や、タイトル戦の勝ち残り状況を、データベース的にまとめました。
七段なるか最新情報
昇段要件は?
将棋プロ棋士の格の一つである「段位」は、上がるための要件が詳しく定められています。
藤井聡太さんは現在六段なので、当面はいつ七段の要件を満たすかが注目すべき点です。
日本将棋連盟が公表している昇段規定のうち、藤井聡太六段に関係しそうなところをピックアップすると、以下の通りです。
竜王挑戦
六段昇段後竜王ランキング戦連続昇級
タイトル1期獲得
六段昇段後全棋士参加棋戦優勝出典:日本将棋連盟
詳しくは後述しますが、一番早く達成可能なのは2つ目の要件「竜王ランキング戦連続昇級」です。
昨年度もランキング戦で昇級しているので、今年度も昇級すれば要件に該当するからです。
ランキング戦の昇級って?
将棋タイトル戦の一つである竜王戦は、挑戦者を決めるまでの仕組みが2つに分かれています。
1つ目が、ランキング戦と呼ばれるもので、過去の実績などから1組〜6組に分かれています。
藤井聡太六段は、昨年昇級したので、今年は5組に所属しています。
2つ目は、ランキング戦を勝ち抜いてきた将棋プロ棋士たちが参加する「決勝トーナメント」と呼ばれるものです。
決勝トーナメントを勝ち上がると、決勝で三番勝負を行い、勝者が竜王に挑戦できます。
ランキング5組の昇級規定は?
上のランキングへ上がる要件は、各組とも「ランキングトーナメントの決勝に進出」するか(2名)、決定戦を勝ち抜くか(2名)の合計4名にはいればいいことになっています。
藤井聡太六段の場合は?
藤井聡太六段が所属するランキング5組のトーナメントは、準決勝へ進出した4名が決まっています。
出典:日本将棋連盟
昇級条件に照らし合わせると、次の対戦相手の船江恒平六段に勝てば、決勝進出が決まるので、七段へ昇段します。
仮に負けたとしても、決定戦に回り、1度勝利すれば七段へ昇段できます。
下記が決定戦のトーナメント表ですが、藤井聡太六段が船江恒平六段に負けた場合は、「n」のところに名前が記入されます。
出典:日本将棋連盟
nの人は、1回勝ったら勝ち抜けられます。
つまり、竜王戦ランキング戦に関しては、「残り2戦のうち1勝1敗」で七段へ昇段ということになります。
今後のスケジュール・対局予定
王座戦決勝トーナメント(5月7日、vs 屋敷伸之九段)
勝ち残っているタイトル戦の中で、一番早くタイトルに到達できる可能性のあるものです。
対戦相手の屋敷伸之九段は、最年少タイトル獲得を筆頭に、タイトル獲得3期、A級在位5期を誇る、トップ棋士の一人です。
王座戦のこれまでの対戦相手の中では、糸谷哲郎八段に並ぶ強敵と見ていいでしょう。
竜王戦ランキング5組準決勝(5月18日、vs 船江恒平六段)
七段昇段がかかる、注目の大一番です。
この対局に勝てば七段昇段が決まるだけでなく、竜王戦の決勝トーナメント進出も決まります。
決勝トーナメントに進めれば、まだ道は遠いものの、羽生善治竜王との七番勝負の可能性も開けてくるので、当面のターニングポイントになる対局です。
https://shogipocket.com/sota-match-information/
タイトル戦勝ち残り状況データベース
各タイトル戦別に、藤井聡太六段の勝ち残り状況をまとめました。
なお、タイトル戦の仕組みは以下の関連記事で解説しています。
また、挑戦者を決める仕組みは、以下の関連記事でも解説しています。
名人戦(順位戦)
名人戦の挑戦者を決めるリーグ戦である順位戦は、5つから構成されています。
具体的にはA級→B級1組→B級2組→C級1組→C級2組という順番で、藤井聡太六段は下から2つ目の「C級2組」に所属しています。
順位戦は4月から翌年の3月まで1年をかけて行われるので、藤井聡太六段が最短ルートを進めば、以下のようなスケジュールになります。
順位戦 | 期間 |
C級1組 | 2018年4月〜2019年3月 |
B級2組 | 2019年4月〜2020年3月 |
B級1組 | 2020年4月〜2021年3月 |
A級 | 2021年4月〜2022年3月 |
名人挑戦 | 2022年4月? |
「すぐに・簡単に挑戦できない」ことが名人戦の権威を高めている理由でもあるのですが、「少なくとも4年後」は、少し気の長い話です。
現在、名人戦七番勝負(佐藤天彦名人vs羽生善治竜王)が進行中で、第2局まで終わって、1勝1敗になっています。
その陰で、来期の順位戦がすでに始まっており、藤井聡太六段の対戦カードも公表されています。
出典:日本将棋連盟
注目は、初戦の森下卓九段と、最終局の都成竜馬五段戦です。
森下卓九段は、A級在位・名人戦挑戦・タイトル挑戦6回を誇る、トッププロの一人で、都成竜馬五段は、藤井聡太六段とともにC級1組へ昇級してきた、若手注目株の一人です。
竜王戦
1組〜6組で構成される「ランキング戦」と、ランキング戦を勝ち抜いてきた将棋プロ棋士が集う「決勝トーナメント」の2つで、挑戦者を決める仕組みです。
2017年度の情報を示すと、以下のようになっています。
藤井聡太六段は、ランキング戦を勝ち抜いて、決勝トーナメントの2回戦まで勝ち進みました。
あらためて見ると、タイトルの挑戦者になることが、いかに途方もない大変さかがわかります。
ランキング6組
所属者が多いことで知られる6組を、6連勝で勝ち抜けて行きました。
勝った相手の中には、ひふみんでおなじみの加藤一二三元名人や、叡王戦の挑戦者になっている金井恒太六段など、強豪が散見されます。
https://shogipocket.com/eiou-match-information/
出典:日本将棋連盟
決勝トーナメント
デビューから連勝記録を続けている最中だったので、「このまま竜王戦の挑戦者になるのでは?」と騒がれました。
佐々木勇気六段が意地を見せつけ、29連勝で連勝記録を止めたことは記憶に新しいところです。
https://shogipocket.com/rivals-for-fujii/
出典:日本将棋連盟
2018年度は?
藤井聡太六段は、現在ランキング5組の準決勝まで勝ち進んでいます。
例年のスケジュールだと、9月上旬には竜王戦の挑戦者が決まります。
叡王戦
2017年度から新たにタイトル戦へ格上げされました。
挑戦者を決める仕組みは、「段位別予選」と「本戦」からなっていて、藤井聡太六段は、本戦の1回戦まで勝ち進みました。
現在、「叡王」を決定する七番勝負が進行中で、高見泰地六段が2連勝しています。
なので、2018年度の予選は、まだ始まっていません。
段位別予選
藤井聡太六段は、4連勝で段位別予選を突破しました。
勝ってきた相手も、各予選で活躍している方が多く、予選突破は非常に価値が高いです。
出典:日本将棋連盟
本戦
初戦の相手は、将棋タイトル王位3期&A級所属のトッププロである深浦康市九段。
本戦でどこまで勝ち進むか注目されていましたが、深浦康市九段に討ち取られてしまいました。
出典:日本将棋連盟
王位戦
連覇を続けていた羽生善治王位から、菅井竜也七段が初タイトルを奪ったのは記憶に新しいところです。
王位戦は、「予選→挑戦者決定リーグ(紅組と白組)→各組の優勝者同士で決定戦」という流れで、挑戦者を決めます。
予選
藤井聡太六段は、同期プロデビューの大橋貴洸四段に負けてしまい、挑戦者決定リーグへは進めませんでした。
大橋貴洸四段は、藤井聡太六段のタイトル挑戦の可能性をしばしば摘むことで知られている存在です。
また、デビュー初年度の成績も藤井聡太六段に次ぐレベルで、隠れた強豪棋士と言えるでしょう。
出典:日本将棋連盟
挑戦者決定リーグ
紅組は羽生善治竜王がトップで、白組は澤田慎吾六段と豊島将之八段が並走しています。
出典:日本将棋連盟
なお、昨日行われた「羽生善治竜王vs木村一基九段」の対局は、木村九段が勝利したので、羽生善治竜王は1敗に後退しています。
王将戦
久保利明王将の防衛で幕を閉じましたが、一次予選がスタートしています。
王将戦は、「一次予選→二次予選→挑戦者決定リーグ」という流れを経て、挑戦者になることができるのですが、リーグに残留するのが難しいことでも知られています。
藤井聡太六段は、一次予選の3回戦で井上慶太九段に負けてしまったので、来年はまた一次予選から再スタートとなります。
出典:日本将棋連盟
王座戦
藤井聡太六段が勝ち残っているタイトル戦は、18年5月4日の時点で2つ(王座戦・竜王戦)ありますが、その1つです。
王座戦は、「一次予選→二次予選→挑戦者決定トーナメント」を勝ち抜くと挑戦者になることができます。
一次予選
初戦でA級在籍経験がある小林九段に勝利したのを皮切りに、4連勝で突破しました。
出典:日本将棋連盟
二次予選
決勝の相手が、糸谷哲郎八段だったので、注目が高いカードでした。
出典:日本将棋連盟
糸谷八段は、将棋ビッグタイトル竜王を獲得した経験があり、2018年度はA級に所属しています。
https://shogipocket.com/fujii-vs-itotani/
無事に勝利して二次予選突破を決めましたが、糸谷八段に以下のようなコメントをさせたあたりからも、トップ棋士達が高い評価をしていることが伺えます。
終盤、鋭いですし、中盤に切り込んでこられる。気持ちのいい踏み込み方でした
出典:日刊スポーツ
挑戦者決定トーナメント
4連勝すれば、中村太地王座への挑戦権を手にできます。
まだ始まったばかりなので、将棋プロ棋士の格を頼りに対戦相手を予想せざるを得ませんが、勝ち進んでいくと、以下のような対戦カードになる可能性があります。
対戦相手(推測) | 実績 | |
1回戦 | 屋敷伸之九段 | タイトル3期、A級5期 |
2回戦 | 羽生善治竜王? | タイトル99期、王座戦19連覇 |
準決勝 | 久保利明王将? | タイトル7期、A級11期 |
決勝 | 渡辺明棋王? | タイトル20期、竜王9連覇 |
いずれもタイトルホルダーか、タイトル経験者なので、これを全部勝ち抜けることがあれば、もはや事件といってもいいでしょう。
なお、18年5月7日に行われた1回戦で屋敷伸之九段戦に勝利し、2回戦への進出を決めています。
https://shogipocket.com/sota-challenge-for-king/
棋王戦
渡辺明棋王の6連覇で幕を閉じましたが、予選が始まっています。
棋王戦は、挑戦者決定トーナメントの準決勝から「2敗失格システム」を採用している特徴のあるタイトル戦です。
「予選→挑戦者決定トーナメント」を経て、挑戦者になることができます。
予選
藤井聡太六段は、予選の決勝まで勝ち進んでいます。
油断は禁物ですが、対戦相手に想定される将棋プロの実績を考えると、決勝トーナメントへ進める可能性があると見ていいでしょう。
棋聖戦
現在10連覇中の羽生善治棋聖へ、タイトル挑戦5度目の豊島将之八段が挑む五番勝負が6月から始まります。
https://shogipocket.com/habu-vs-toyoshima-match/
棋聖戦は、「一次予選→二次予選→決勝トーナメント」を勝ち抜くと、挑戦者になれます。
一次予選
予選の決勝まで勝ち進みましたが、やや天敵感(?)のある大橋貴洸四段に、二次予選進出を阻まれてしまいました。
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